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AWSベストプラクティス
約21分
専門
9/10
2025年9月5日

AWS ANS-C01 対策 Cloud WAN を活用したグローバルネットワーク統合アーキテクチャ

AWS Cloud WANによるグローバルネットワークの集約管理方法を解説。Direct Connect冗長化、Global Accelerator連携、マルチリージョン最適化を実践問題で理解し、既存WANからの移行パターンを習得します。

この記事のポイント

  • 1
    Cloud WANによるグローバルネットワーク統合の仕組みを理解する
  • 2
    Direct Connect冗長化とWAN障害時のフェイルオーバー設計を把握する
  • 3
    既存オンプレミスWANからCloud WANへの移行パターンを習得する

目次

Cloud WAN

AWS Cloud WANは、グローバル規模でのネットワーク管理を簡素化し、複数のリージョンとオンプレミス環境を統一的に管理できるマネージドサービスです。

従来のTransit Gateway単体とは異なり、Cloud WANはグローバルネットワーク管理一元的なポリシー制御自動的な最適化を提供し、大規模な企業ネットワークの運用負荷を大幅に削減します。

🔍WAN (Wide Area Network)

WAN (Wide Area Network)は、広範囲にわたる地理的なエリアをカバーするネットワークのことです。本社と支社、データセンター間、あるいはクラウド環境とオンプレミス環境を結ぶ際に使われます。インターネットも最大のWANの一種です。

AWS Cloud WANは、この一般的なWANをAWSのグローバルネットワーク上で構築・管理するためのマネージドサービスであり、従来のWAN構築・運用に伴う複雑さを、ポリシーベースの一元的な管理で大幅に簡素化します。

Cloud WAN によるグローバルネットワーク統合アーキテクチャ

Cloud WAN によるグローバルネットワーク統合アーキテクチャ

1
グローバルネットワークの定義
企業の全ネットワーク要件を単一のCloud WANポリシーで定義し、一元的な管理基盤を構築
  • 複数リージョン・オンプレミスサイトの統一管理
2
コアネットワークの自動構築
定義されたポリシーに基づき、AWSがコアネットワークを自動的に構築・最適化
  • リージョン間の最適パス選択とトラフィック分散
3
エッジロケーションとの接続
企業のオンプレミスサイトやブランチオフィスを最適なエッジロケーションに自動接続
  • レイテンシとコストを考慮した自動ルーティング
4
セグメンテーションとアクセス制御
ネットワークセグメントごとの独立した通信制御とセキュリティポリシー適用
  • 部門・機能別のネットワーク分離と相互接続制御
5
動的な負荷分散と最適化
リアルタイムなトラフィック監視により、常に最適なパスを自動選択・調整
  • 障害時の自動フェイルオーバーと性能最適化
6
一元的な運用監視
単一コンソールからのグローバルネットワーク状況監視と運用管理
  • 統一されたログとメトリクスによる包括的な可視化

主要な使用場面の判断基準

Cloud WANが最適な選択となるのは、複数リージョンにまたがる大規模ネットワークで、統一的な管理と最適化が重要な場面です。

グローバルネットワークの集約管理

多国籍企業では、各地域のオフィスやデータセンターが独立してネットワーク管理を行っている場合が多く、統一的なポリシー適用と可視化が課題となります。

統一ポリシー管理

全リージョン・全サイトに対する一貫したセキュリティポリシーとルーティングルールを単一コンソールから適用できます。

自動リソース最適化

トラフィックパターンを分析し、帯域幅利用率やレイテンシを自動的に最適化してコストと性能を両立します。

簡素化されたネットワーク設計

複雑なピアリング関係やルートテーブル管理から解放され、宣言的なポリシー定義により設計を簡素化できます。

スケーラビリティ

新しいリージョンやサイトの追加時に、既存の設定を変更することなく自動的にネットワークに統合されます。

判断基準

Transit Gateway vs Cloud WAN: Transit Gatewayは単一リージョン内の接続に最適化されていますが、Cloud WANはマルチリージョンにまたがる企業ネットワーク全体の統合管理に特化しており、グローバルなポリシー適用と自動最適化を提供します。

ネットワークセグメンテーションによる分離

Cloud WANの最も強力な機能の一つが、ネットワークセグメントによるトラフィックの分離です。これにより、Transit Gatewayで複雑になりがちなルートテーブル管理を、直感的でスケーラブルなポリシーベースの管理に置き換えることができます。

Cloud WAN セグメントによるネットワーク分離の概念図

Cloud WAN セグメントによるネットワーク分離の概念図

独立したルーティング

各セグメントは独自のルーティングテーブルを持ち、完全に独立しています。

同一セグメント内通信

同じセグメントに属するVPCやVPNは、デフォルトで相互に通信できます。

セグメント間通信

異なるセグメント間の通信はデフォルトで拒否され、コアネットワークポリシーで共有関係を明示的に定義した場合にのみ許可されます。

判断基準

Transit Gatewayとの違い: Transit GatewayではVPC間の分離にルートテーブルの伝播設定や静的ルートの複雑な設定が必要でしたが、Cloud WANでは「どのVPCがどのセグメントに属するか」を定義するだけで、大規模な環境でもシンプルに分離・統制を実現できます。

技術的実装のポイント

Cloud WANの実装では、従来のネットワーク管理とは異なるポリシーベースの設定自動化されたリソース管理が重要なポイントとなります。

ネットワークポリシーの設計

JSON形式で定義される宣言的ポリシーにより、セグメント、接続性、帯域幅要件を明確に定義します。

セグメント間通信制御

本番環境、開発環境、管理環境等の適切な分離と、必要に応じた相互接続を設計します。

エッジロケーション選択

拠点の地理的位置とトラフィックパターンを考慮した最適なエッジロケーション選択を行います。

監視とトラブルシューティング

CloudWatch Metricsとネットワークインサイトを活用した包括的な監視体制を構築します。

ベストプラクティス

Global Accelerator との連携: Cloud WANでネットワーク基盤を構築し、Global Acceleratorでアプリケーションレベルの最適化を行う組み合わせにより、ネットワークとアプリケーション両方のパフォーマンス最適化を実現できます。

実践問題で確認

ここまで学んだCloud WANによるグローバルネットワーク統合を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生するグローバルネットワークの課題に基づいており、適切なアーキテクチャ選択能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

グローバル製薬企業が複数のAWSリージョンでクラウド基盤を構築しています。研究開発部門と臨床試験部門があり、各部門は独自のインフラを必要とし、現在8つのVPCが複数リージョンに分散しています。 要件: 1. 各部門内のリソースは部門内でのみ通信可能で、他部門から完全に分離 2. 今後3年間で新地域(中南米・アフリカ)と新部門(データサイエンス)を追加予定 3. リソース使用状況とネットワークトラフィックの包括的な可視性が必要 これらの要件を満たす最も運用効率の高いソリューションはどれですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある製薬会社が、AWS上で複数の事業部門のワークロードを稼働させています。この会社には「研究開発」、「臨床試験」、「生産管理」という3つの主要な事業部門があり、それぞれが複数のAWSアカウントを持っています。各事業部門は独自のVPCを持ち、部門内のアカウント間では通信が必要ですが、部門間の通信は厳しく制限されています。また、すべての事業部門は地理的に分散した施設から共通のオンプレミスデータセンターにアクセスする必要があります。会社は、将来的に各部門でアカウントとVPCの数が増加することを見込んでおり、拡張性と管理の容易さを確保したネットワーク設計を求めています。どのソリューションが最も運用効率が高く、これらの要件を満たしますか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

小売企業が複数のAWSリージョンにまたがるマルチリージョンアーキテクチャを構築しています。各リージョンには複数のVPCがあり、これらのVPC間でクロスリージョントラフィックを有効にする必要があります。また、本社のオンプレミスデータセンターからすべてのVPCにアクセスできるようにする必要もあります。企業のネットワークアーキテクトは、運用オーバーヘッドを最小限に抑えながら、すべてのVPC間とオンプレミスネットワークとの接続を最も効率的に管理するソリューションを設計する必要があります。 どのネットワーク接続アプローチが要件を満たしますか?

まとめ

AWS Cloud WANによるグローバルネットワーク統合は、複数リージョンにまたがる企業ネットワークの統一管理自動最適化冗長性確保を実現します。段階的移行BGPコミュニティ制御Global Accelerator連携により、既存投資を活用しながらクラウドネイティブなネットワークアーキテクチャへ移行できます。

統一ポリシー管理より全リージョン・全サイトに一貫したセキュリティポリシーを適用し、自動リソース最適化トラフィックパターンを分析してコストと性能を両立。宣言的なポリシー定義より複雑なピアリング関係から解放されます。

ネットワークセグメントより、VPCやVPNなどのアタッチメントを論理的に分離し、ポリシーベースでトラフィックを制御します。これにより、複雑なルートテーブル管理から解放され、部門間や環境間の厳格な分離とシンプルな運用を実現します。

これらの実装パターンにより、レガシーWANの制約を克服し、グローバル企業のネットワーク要件に対応したクラウドアーキテクチャを構築できます。ビジネス要件の複雑さ求められる管理レベルに基づく適切な技術選択が重要なポイントとなります。

理解度チェック

Cloud WANとTransit Gatewayの適用場面の違いを説明できるか?

WAN障害時の冗長化設計とBGPコミュニティ制御の仕組みを理解しているか?

Global Acceleratorとの連携によるパフォーマンス最適化の効果を説明できるか?

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