AWS ANS-C01 対策 CloudWatch Syntheticsによるプロアクティブ監視
CloudWatch Syntheticsによるプロアクティブな外形監視を解説。ユーザー操作をシミュレートするカナリア(Canary)を使い、APIエンドポイントやWebサイトの可用性とパフォーマンスをユーザー視点で監視する方法を学びます。
この記事のポイント
- 1プロアクティブな外形監視の重要性を理解する
- 2CloudWatch Synthetics Canaryの主なユースケースを把握する
- 3CloudWatchのメトリクス監視とSyntheticsの使い分けを説明できる
目次
サーバー監視だけでは不十分な理由
システムの監視というと、EC2インスタンスのCPU使用率やメモリ使用量といったリソースメトリクスの監視を思い浮かべるかもしれません。しかし、これらのメトリクスが正常でも、アプリケーションがユーザーにとって正しく機能しているとは限りません。
例えば、サーバーのCPU使用率が低くても、Webサイトのログインボタンが機能しない、APIがエラーを返す、といった問題は検知できません。本当の意味での可用性を確保するには、システムを外側から、あたかも一人のユーザーのように継続的にテストする「外形監視」または「プロアクティブな監視」が必要です。
解決策:Syntheticsによる外形監視
このプロアクティブな外形監視を実現するのが Amazon CloudWatch Synthetics です。
Syntheticsでは、カナリア(Canary)と呼ばれる設定可能なスクリプトを作成できます。このスクリプトは、設定したスケジュール(例: 1分ごと)で自動実行され、WebサイトのエンドポイントやAPIエンドポイントを継続的に監視します。これにより、実際のユーザーが問題に遭遇する前に、サービスの可用性やパフォーマンスの問題を検知できます。
Canaryで何ができるか?
Synthetics Canaryにはいくつかの設計図(ブループリント)が用意されており、多様な監視が可能です。
ハートビート監視
指定したURLに対して定期的にリクエストを送信し、応答時間、ステータスコード(200 OKなど)を監視します。最も基本的な死活監視です。
APIカナリア
REST APIのエンドポイントを呼び出し、応答ヘッダーや本文の内容が期待通りか検証します。APIの正常性を多角的にテストできます。
UIカナリア(Webサイトの操作シミュレーション)
Puppeteer(ヘッドレスChromeを制御するライブラリ)のスクリプトを使用して、実際のユーザー操作をシミュレートします。ログイン、商品検索、カート追加といった一連の操作を行い、各ステップでスクリーンショットを撮ることも可能です。
CloudWatchアラームは、CPU使用率などの内部メトリクスに基づく「受動的な」監視です。一方で、CloudWatch Syntheticsは、ユーザー視点での可用性をテストする「能動的な」監視です。両者を組み合わせることで、包括的な監視が実現します。
実践問題で確認
ここまで学んだCloudWatch Syntheticsの知識を、実践的な問題で確認しましょう。
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練習問題
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練習問題
まとめ
CloudWatch Syntheticsは、アプリケーションやインフラのユーザー視点での健全性をプロアクティブに監視するための強力なツールです。サーバーリソースのメトリクスだけでは見えない問題を、実際のユーザー操作をシミュレートすることで明らかにします。
試験では、「ユーザーエクスペリエンスの監視」「APIの可用性テスト」「Webサイトの操作シミュレーション」といった要件が出てきた場合に、CloudWatch Syntheticsが有力な解答候補となります。
CloudWatch Syntheticsは、
単純な
理解度チェック
なぜCPU使用率などのメトリクス監視だけでは不十分なのか説明できるか?
CloudWatch Syntheticsが特に有効な監視シナリオを2つ以上挙げられるか?