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AWSベストプラクティス
約11分
上級
7/10
2025年8月19日

AWS ANS-C01 対策 CloudWatch Syntheticsによるプロアクティブ監視

CloudWatch Syntheticsによるプロアクティブな外形監視を解説。ユーザー操作をシミュレートするカナリア(Canary)を使い、APIエンドポイントやWebサイトの可用性とパフォーマンスをユーザー視点で監視する方法を学びます。

この記事のポイント

  • 1
    プロアクティブな外形監視の重要性を理解する
  • 2
    CloudWatch Synthetics Canaryの主なユースケースを把握する
  • 3
    CloudWatchのメトリクス監視とSyntheticsの使い分けを説明できる

目次

サーバー監視だけでは不十分な理由

システムの監視というと、EC2インスタンスのCPU使用率やメモリ使用量といったリソースメトリクスの監視を思い浮かべるかもしれません。しかし、これらのメトリクスが正常でも、アプリケーションがユーザーにとって正しく機能しているとは限りません。

例えば、サーバーのCPU使用率が低くても、Webサイトのログインボタンが機能しない、APIがエラーを返す、といった問題は検知できません。本当の意味での可用性を確保するには、システムを外側から、あたかも一人のユーザーのように継続的にテストする「外形監視」または「プロアクティブな監視」が必要です。

解決策:Syntheticsによる外形監視

このプロアクティブな外形監視を実現するのが Amazon CloudWatch Synthetics です。

Syntheticsでは、カナリア(Canary)と呼ばれる設定可能なスクリプトを作成できます。このスクリプトは、設定したスケジュール(例: 1分ごと)で自動実行され、WebサイトのエンドポイントやAPIエンドポイントを継続的に監視します。これにより、実際のユーザーが問題に遭遇する前に、サービスの可用性やパフォーマンスの問題を検知できます。

Canaryで何ができるか?

Synthetics Canaryにはいくつかの設計図(ブループリント)が用意されており、多様な監視が可能です。

ハートビート監視

指定したURLに対して定期的にリクエストを送信し、応答時間、ステータスコード(200 OKなど)を監視します。最も基本的な死活監視です。

APIカナリア

REST APIのエンドポイントを呼び出し、応答ヘッダーや本文の内容が期待通りか検証します。APIの正常性を多角的にテストできます。

UIカナリア(Webサイトの操作シミュレーション)

Puppeteer(ヘッドレスChromeを制御するライブラリ)のスクリプトを使用して、実際のユーザー操作をシミュレートします。ログイン、商品検索、カート追加といった一連の操作を行い、各ステップでスクリーンショットを撮ることも可能です。

判断基準

CloudWatchアラームは、CPU使用率などの内部メトリクスに基づく「受動的な」監視です。一方で、CloudWatch Syntheticsは、ユーザー視点での可用性をテストする「能動的な」監視です。両者を組み合わせることで、包括的な監視が実現します。

実践問題で確認

ここまで学んだCloudWatch Syntheticsの知識を、実践的な問題で確認しましょう。

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練習問題

ある大手オンライン教育プラットフォームで、世界中の学生からパフォーマンスが不安定であるという報告が増えています。特にピーク時間帯にビデオのバッファリングやページ読み込みの遅延が発生しています。ITチームは、ネットワークパフォーマンスの問題を特定して解決するために、ベースラインパフォーマンスを確立する必要があります。正確なベースラインを把握するために採用すべき最も効果的なアプローチはどれですか?

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練習問題

ある小売業者が、グローバルeコマースプラットフォームのネットワークパフォーマンスとユーザーエクスペリエンスの問題に直面しています。サイトの読み込み時間が遅く、顧客からの不満が増加しています。ネットワークチームは、エンドツーエンドのネットワークパフォーマンスを可視化し、問題の原因を特定してユーザーエクスペリエンスを改善するためのダッシュボードを作成する必要があります。ネットワークの状態を最も効果的に可視化するために推奨されるメトリクスの組み合わせはどれですか?(3つ選択)

まとめ

CloudWatch Syntheticsは、アプリケーションやインフラのユーザー視点での健全性をプロアクティブに監視するための強力なツールです。サーバーリソースのメトリクスだけでは見えない問題を、実際のユーザー操作をシミュレートすることで明らかにします。

試験では、「ユーザーエクスペリエンスの監視」「APIの可用性テスト」「Webサイトの操作シミュレーション」といった要件が出てきた場合に、CloudWatch Syntheticsが有力な解答候補となります。

CloudWatch Syntheticsは、実際のユーザーのようにシステムにアクセスし、パフォーマンスと可用性を外側から継続的にテストします。これにより、障害が発生する前に問題を検知できます。

単純なURLの死活監視(ハートビート)から、APIの応答内容の検証、複雑なWebサイトの操作(UIテスト)まで、カナリア呼ばれるスクリプトで柔軟に設定できます。

理解度チェック

なぜCPU使用率などのメトリクス監視だけでは不十分なのか説明できるか?

CloudWatch Syntheticsが特に有効な監視シナリオを2つ以上挙げられるか?

他の問題も解いてみませんか?

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