AWS実践2025/8/20
約12分
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AWSSCSC02AWS実践Secrets Manager

AWS SCS-C02 対策 認証情報管理とローテーション戦略

AWSにおける認証情報の安全な管理とローテーション戦略を解説。AWS Secrets Manager、Systems Manager Parameter Store、IAMロールを活用した自動ローテーション、ゼロダウンタイム更新の実装方法を実践的な問題を通じて理解します。

この記事のポイント

  • 1
    認証情報の種類に応じた適切な管理サービスの選択方法を理解する
  • 2
    自動ローテーションの実装とゼロダウンタイム更新の設計を習得する
  • 3
    IAMロールを使用した安全な認証情報管理方法を把握する

目次

認証情報管理の重要性

認証情報の適切な管理は、セキュリティインシデントの90%以上を防ぐ重要な要素です。AWSでは、ハードコーディングを避け、集中管理と自動ローテーション実現するための複数のサービスが提供されています。

本記事では、AWS Secrets ManagerとSystems Manager Parameter Storeの選択基準自動ローテーション戦略IAMロールによる認証情報管理パターン実践的な問題を通じて学習します。

資格取得で重要なトピック

AWSにおける認証情報管理とローテーション戦略では、以下の3つのトピックが特に重要です。

認証情報管理サービスの選択基準

AWS Secrets ManagerとSystems Manager Parameter Storeの使い分けを正確に判断することが重要です。各サービスの特性を理解し、要件に応じて最適なサービスを選択する能力が求められます。

上記のフローチャートでは、まず認証情報の種類確認することから始まります。データベース認証情報とAPIキー/設定値では、それぞれ異なる判断基準が適用されます。

データベース認証情報の場合、最初の判断ポイントは自動ローテーションの要否です。AWS Secrets ManagerはRDSやRedshiftとのネイティブ統合により、Lambda関数を使用した自動ローテーションを提供します。30日、60日、90日といった間隔で自動的に認証情報を更新し、アプリケーションへの影響を最小限に抑えます。

APIキー/設定値の場合は、階層構造での管理要件重要な判断基準となります。Systems Manager Parameter Storeは、設定値や静的な認証情報の階層管理に適しており、IAMポリシーによる細かいアクセス制御を実現できます。

最終的な判断ポイント:自動ローテーションが必要な場合はSecrets Manager階層構造での管理やコスト効率を重視する場合はParameter Store選択します。

自動ローテーション戦略の実装

AWS Secrets Managerの自動ローテーションでは、ゼロダウンタイムを実現する仕組み重要です。以下の図で、ローテーションプロセスの詳細を確認しましょう。

Secrets Managerの自動ローテーション実装フロー

Secrets Managerの自動ローテーション実装フロー

図の左側にある新しいシークレットバージョンの作成(AWSPENDING)から始まります。この段階では、既存のアプリケーションは引き続きAWSCURRENTラベルの認証情報を使用するため、サービスに影響はありません。

次にデータベースでの新パスワード設定行います。RDSやRedshiftとのネイティブ統合により、Lambda関数が自動的にデータベースのパスワードを更新します。この時点でも、アプリケーションは古い認証情報で動作し続けます。

新パスワードの動作確認では、新しい認証情報でデータベースに接続できることを検証します。接続テストが失敗した場合、ローテーションプロセスは自動的に停止し、既存の認証情報が保持されます。

最後にバージョンラベルの切り替え(AWSPENDING → AWSCURRENT)を実行します。この瞬間から、アプリケーションは新しい認証情報を使用するようになります。

インシデント対応時は、Lambda関数で手動ローテーションをトリガーすることで、即座に認証情報を無効化できます。

判断ポイント:バージョンラベルの仕組みにより、ローテーション中もアプリケーションは継続動作します。

IAMロールによる認証情報管理

コンピューティングワークロードで認証情報を安全に管理する場合、IAMロールベースのアクセス制御重要です。以下の図で、IAMロールを使用した認証情報管理パターンを確認しましょう。

IAMロールによる認証情報管理アーキテクチャ

IAMロールによる認証情報管理アーキテクチャ

図の左側にあるコンピューティングワークロード(EC2、ECS、Lambda)が、それぞれ専用のIAMロール引き受けます。EC2プロファイル、ECSタスクロール、Lambda実行ロールが中央左に配置され、各サービスとの関連付けが明確に示されています。

中央の認証情報管理セクションでは、Secrets Managerデータベース認証情報を一元管理し、KMSによる暗号化で保護されています。各IAMロールは、GetSecretアクションでSecrets Managerから必要な認証情報を取得します。

KMS復号化権限は、各IAMロールに付与され、暗号化されたシークレットの復号化を可能にします。これにより、アプリケーションコードに認証情報をハードコーディングする必要がなくなります。

右側のデータベース(RDS、DynamoDB)への接続は、取得した認証情報を使用して行われます。この式により、認証情報の自動ローテーション透過的に実現されます。

下部の監査セクションでは、CloudTrailがすべてのAPI呼び出しを記録し、CloudWatchでログを集約します。これにより、完全な監査証跡が確保されます。

判断ポイント:IAMロールを使用することで、長期間有効な認証情報をアプリケーションに埋め込む必要がなくなりセキュリティが大幅に向上します。

実践問題で確認

ここまで学んだ認証情報管理とローテーション戦略を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の運用シナリオに基づいており、適切な実装方法を選択する能力を養います。

AWS認定セキュリティ - 専門知識

練習問題

ある金融サービス企業が、AWS Lambdaを使用したサーバーレスアプリケーションを開発しています。このアプリケーションはAmazon DynamoDBとAmazon RDS MySQLデータベースにアクセスする必要があります。新しいセキュリティポリシーにより、セキュリティインシデント発生時に迅速に対応できるよう、すべてのデータベース認証情報を90日ごとに自動的にローテーションする必要があります。また、認証情報の変更履歴を保持し、監査できる必要があります。 最小限の開発工数でこれらの要件を満たすソリューションはどれですか?

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練習問題

ある金融サービス企業がセキュリティインシデント対応計画を更新しています。この企業は複数のマイクロサービスを運用しており、それらは Amazon RDS PostgreSQL データベースと Amazon DynamoDB テーブルにアクセスしています。最近、ある従業員のIAMアクセスキーが漏洩した疑いがあるセキュリティインシデントが発生しました。 セキュリティエンジニアは、将来的に認証情報が漏洩した場合に迅速に対応できるよう、より堅牢な認証情報管理とローテーション戦略を実装する必要があります。この戦略は以下の要件を満たす必要があります: - データベース認証情報を安全に保管する - 90日ごとに自動的に認証情報をローテーションする - インシデント発生時に強制的に認証情報をローテーションできる - 認証情報の変更履歴を監査できる - アプリケーションコードの変更を最小限に抑える この要件を満たすために最も適切なソリューションはどれですか?

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練習問題

あるeコマース企業がAWS上にマイクロサービスアーキテクチャのアプリケーションをデプロイしています。このアプリケーションは、支払い処理、顧客データ管理、および在庫管理のための複数のEC2インスタンスとECSコンテナから構成されています。現在、アプリケーションコードにはデータベース接続情報や支払いゲートウェイのAPIキーなどの機密認証情報がハードコードされています。最近のセキュリティ監査で、この方法は安全でないと指摘され、認証情報の管理方法を改善するよう勧告がありました。セキュリティチームは、コンピューティングワークロードに対して認証情報を安全に提供し、自動的なローテーションを可能にする解決策を実装したいと考えています。この要件を満たすために実装すべき2つのアプローチを選択してください。

まとめ

認証情報管理では、適切なサービス選択(Secrets Manager vs Parameter Store)自動ローテーション戦略成功の鍵となります。

AWS Secrets Manager自動ローテーション必要な動的な認証情報に最適です。RDSやRedshiftとのネイティブ統合より、Lambda関数を使用した定期的な自動更新を実現します。一方、Systems Manager Parameter Store静的な設定値やAPIキーの管理に適しており、階層構造での管理コスト効率の高さが特徴です。

Multi-User Rotation戦略より、2つのデータベースユーザーを交互に使用してゼロダウンタイムを実現します。AWRSCURRENTとAWSPENDINGのバージョンラベルを活用し、ローテーション中でもアプリケーションの継続的な動作を保証します。CloudWatch Eventsとの統合により、失敗時の自動ロールバックも可能です。

コンピューティングワークロードでは、IAMロールSecrets Manager組み合わせが必須です。EC2インスタンスプロファイル、ECSタスクロール、Lambda実行ロールを使用することで、認証情報のハードコーディングを避け、自動ローテーションを実現します。KMS暗号化により、保存時と転送時の両方でデータを保護します。

これらの実装パターンを理解し、要件に応じた最適なソリューションを選択する能力が、セキュアなシステム構築の基盤となります。

理解度チェック

Secrets ManagerとParameter Storeの使い分け基準を説明できるか?

Secrets Managerの自動ローテーションプロセス(AWSPENDING→AWSCURRENT)を説明できるか?

IAMロールによる認証情報管理のアーキテクチャパターンを説明できるか?

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