AWS ANS-C01 対策 Egress-Only Internet Gateway によるIPv6アウトバウンド専用通信設計
Egress-Only Internet Gatewayを活用したIPv6環境でのアウトバウンド専用通信の実装方法を解説。デュアルスタック環境、セキュリティ要件対応、プライベートサブネット設計による実践的なIPv6通信制御を学習します。
この記事のポイント
- 1Egress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信の仕組みを理解する
- 2デュアルスタック環境でのIPv4とIPv6の適切な使い分けとセキュリティ設計を把握する
- 3プライベートサブネットにおけるIPv6外部API接続の実装方法を習得する
目次
Egress-Only Internet Gateway
Egress-Only Internet Gatewayは、IPv6環境においてアウトバウンド専用のインターネット接続を実現する専用のAWSサービスです。
プライベートサブネット内のリソースからのIPv6通信を許可しながら、インターネットからの着信接続を完全にブロックすることで、セキュリティを維持したIPv6通信を実現します。

Egress-Only Internet Gateway によるIPv6アウトバウンド専用通信アーキテクチャ
- •図中の緑色矢印:EC2 → Egress-Only IGW → インターネット
- •図中の緑色矢印:外部API → インターネット → Egress-Only IGW → EC2
- •図中の赤色破線:インターネットからの直接アクセス拒否
- •図中の青色矢印:パブリックサブネットの双方向アクセス
IPv6アドレスは128ビット長で、グローバルに一意なアドレス空間を提供します。AWSではAmazon提供のIPv6 CIDRブロック(例:2001:db8:1234:5678::/56
)を使用し、各サブネットには/64のCIDRブロックが割り当てられます。重要な注意点として、2001:db8::/32
で始まるアドレスはドキュメント用の予約アドレスであり、実際のデプロイメントでは使用できません。IPv6では各インスタンスがグローバルアドレスを持ちながら、Egress-Only IGWによってインバウンド接続を制御します。
デュアルスタック環境での設計
デュアルスタック構成では、IPv4とIPv6の両方が共存し、それぞれ異なるインターネット接続方法を使用します。IPv4はNATゲートウェイ、IPv6はEgress-Only Internet Gatewayを活用します。
IPv4とIPv6の適切な使い分け
既存のIPv4アプリケーションを維持しながら、新しいIPv6サービスとの連携を段階的に実現できます。
セキュリティレベルの統一
IPv4(NAT)とIPv6(Egress-Only IGW)の両方で、同等のアウトバウンド専用セキュリティを実現できます。
運用管理の簡素化
プロトコル別に最適化されたAWSサービスを使用することで、複雑な設定なしに安全な通信を実現できます。
将来性の確保
IPv6の普及に備えながら、既存システムの継続運用を保証できます。
IPv4 NAT vs IPv6 Egress-Only IGW: NATゲートウェイはIPv4専用でIPv6をサポートしていません。IPv6環境でのアウトバウンド専用通信にはEgress-Only Internet Gatewayが唯一の選択肢となります。
IPv6環境では、従来のNAT(Network Address Translation)は使用されません。IPv6アドレスはグローバルに一意であるため、アドレス変換の必要がないからです。そのため、NATゲートウェイやNATインスタンスはIPv6トラフィックを処理できません。IPv6でのアウトバウンド専用通信には、専用に設計されたEgress-Only Internet Gatewayを使用する必要があります。
技術的実装のポイント
Egress-Only Internet Gatewayの実装では、IPv6 CIDR設計とルートテーブル設定が重要なポイントとなります。
VPCレベルのIPv6有効化
まずVPCにAmazon提供のIPv6 CIDRブロックを関連付けます。
サブネットレベルの設定
プライベートサブネットに/64のIPv6 CIDRブロックを割り当てます。
Egress-Only IGWの作成とアタッチ
VPCにEgress-Only Internet Gatewayを作成し、アタッチします。
ルートテーブル更新
プライベートサブネットのルートテーブルに::/0 → Egress-Only IGWのルートを追加します。
実践問題で確認
ここまで学んだEgress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生するデュアルスタック要件やセキュリティ制約に基づいており、適切な技術選択能力を養います。
AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識
練習問題
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練習問題
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練習問題
まとめ
Egress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信は、IPv6環境でのセキュリティ要件を満たしながら外部API接続を実現する重要な技術です。デュアルスタック環境での適切な技術選択と実装時の注意点を理解することで、現代的なクラウドアーキテクチャを構築できます。
Egress-Only Internet Gatewayは、
IPv4では
IPv6 CIDR設計と
これらの実装パターンにより、IPv6の特性を活用しながらセキュリティ要件を満たすネットワークアーキテクチャを構築できます。IPv6とIPv4の違いの理解と適切な技術選択が成功の鍵となります。
理解度チェック
IPv6とIPv4でのアウトバウンド通信方法の違い(Egress-Only IGW vs NATゲートウェイ)を説明できるか?
デュアルスタック環境でのCIDR設計とルーティング設定の考え方を理解しているか?
Egress-Only IGWの実装手順(VPC設定からルートテーブル更新まで)を順序立てて説明できるか?