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AWSベストプラクティス
約18分
上級
7/10
2025年9月11日

AWS ANS-C01 対策 Egress-Only Internet Gateway によるIPv6アウトバウンド専用通信設計

Egress-Only Internet Gatewayを活用したIPv6環境でのアウトバウンド専用通信の実装方法を解説。デュアルスタック環境、セキュリティ要件対応、プライベートサブネット設計による実践的なIPv6通信制御を学習します。

この記事のポイント

  • 1
    Egress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信の仕組みを理解する
  • 2
    デュアルスタック環境でのIPv4とIPv6の適切な使い分けとセキュリティ設計を把握する
  • 3
    プライベートサブネットにおけるIPv6外部API接続の実装方法を習得する

目次

Egress-Only Internet Gateway

Egress-Only Internet Gatewayは、IPv6環境においてアウトバウンド専用のインターネット接続を実現する専用のAWSサービスです。

プライベートサブネット内のリソースからのIPv6通信を許可しながら、インターネットからの着信接続を完全にブロックすることで、セキュリティを維持したIPv6通信を実現します。

Egress-Only Internet Gateway によるIPv6アウトバウンド専用通信アーキテクチャ

Egress-Only Internet Gateway によるIPv6アウトバウンド専用通信アーキテクチャ

1
アウトバウンド接続の開始
プライベートサブネット内のEC2インスタンスが外部IPv6サービスへの接続を開始
  • 図中の緑色矢印:EC2 → Egress-Only IGW → インターネット
2
レスポンストラフィックの許可
確立された接続に対するレスポンスのみが自動的に許可される
  • 図中の緑色矢印:外部API → インターネット → Egress-Only IGW → EC2
3
インバウンド接続の拒否
外部からの新規インバウンド接続は完全にブロックされる
  • 図中の赤色破線:インターネットからの直接アクセス拒否
Note:インバウンド接続は自動で完全にブロックされます。
4
パブリックサブネットとの違い
パブリックサブネットは双方向通信が可能、プライベートサブネットはアウトバウンドのみ
  • 図中の青色矢印:パブリックサブネットの双方向アクセス
🔍IPv6アドレスの特性

IPv6アドレスは128ビット長で、グローバルに一意なアドレス空間を提供します。AWSではAmazon提供のIPv6 CIDRブロック(例:2001:db8:1234:5678::/56)を使用し、各サブネットには/64のCIDRブロックが割り当てられます。重要な注意点として、2001:db8::/32で始まるアドレスはドキュメント用の予約アドレスであり、実際のデプロイメントでは使用できません。IPv6では各インスタンスがグローバルアドレスを持ちながら、Egress-Only IGWによってインバウンド接続を制御します。

デュアルスタック環境での設計

デュアルスタック構成では、IPv4とIPv6の両方が共存し、それぞれ異なるインターネット接続方法を使用します。IPv4はNATゲートウェイ、IPv6はEgress-Only Internet Gatewayを活用します。

IPv4とIPv6の適切な使い分け

既存のIPv4アプリケーションを維持しながら、新しいIPv6サービスとの連携を段階的に実現できます。

セキュリティレベルの統一

IPv4(NAT)とIPv6(Egress-Only IGW)の両方で、同等のアウトバウンド専用セキュリティを実現できます。

運用管理の簡素化

プロトコル別に最適化されたAWSサービスを使用することで、複雑な設定なしに安全な通信を実現できます。

将来性の確保

IPv6の普及に備えながら、既存システムの継続運用を保証できます。

判断基準

IPv4 NAT vs IPv6 Egress-Only IGW: NATゲートウェイはIPv4専用でIPv6をサポートしていません。IPv6環境でのアウトバウンド専用通信にはEgress-Only Internet Gatewayが唯一の選択肢となります。

🔍IPv6とNATの関係

IPv6環境では、従来のNAT(Network Address Translation)は使用されません。IPv6アドレスはグローバルに一意であるため、アドレス変換の必要がないからです。そのため、NATゲートウェイやNATインスタンスはIPv6トラフィックを処理できません。IPv6でのアウトバウンド専用通信には、専用に設計されたEgress-Only Internet Gatewayを使用する必要があります。

技術的実装のポイント

Egress-Only Internet Gatewayの実装では、IPv6 CIDR設計ルートテーブル設定が重要なポイントとなります。

VPCレベルのIPv6有効化

まずVPCにAmazon提供のIPv6 CIDRブロックを関連付けます。

サブネットレベルの設定

プライベートサブネットに/64のIPv6 CIDRブロックを割り当てます。

Egress-Only IGWの作成とアタッチ

VPCにEgress-Only Internet Gatewayを作成し、アタッチします。

ルートテーブル更新

プライベートサブネットのルートテーブルに::/0 → Egress-Only IGWのルートを追加します。

実践問題で確認

ここまで学んだEgress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生するデュアルスタック要件やセキュリティ制約に基づいており、適切な技術選択能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

製造業の企業が新しいAWS環境を構築しています。この企業はSAPシステムや生産管理アプリケーションなどの重要なワークロードをAWSに移行する計画を立てており、IPv4とIPv6の両方をサポートするデュアルスタック構成が必要です。また、各部門(生産、物流、財務など)が独自のインフラストラクチャを管理できるようにしながら、ITチームがネットワークリソースを一元管理できる環境が求められています。AWSアカウントは、すでにAWS Organizationsで管理されており、各部門用のワークロードアカウントとITチーム用のネットワークアカウントが存在します。ネットワークエンジニアはこの要件を満たすためにどのようなステップを実施すべきですか?(3つ選択)

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練習問題

ある企業は既存のデータベースサービスをVPC内のプライベートサブネットで実行しています。最近、このサービスをデュアルスタック(IPv4とIPv6)で動作するよう求められました。データベースサービスはIPv6対応の外部APIにアクセスする必要がありますが、セキュリティ要件により、インターネットからのIPv6着信トラフィックは許可せず、企業のサーバーからの発信トラフィックのみを許可する必要があります。ネットワークエンジニアはVPCとプライベートサブネットでIPv6を有効化しました。次にどのソリューションを実装すべきですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

あるフィンテック企業が、プライベートサブネットにあるEC2インスタンス上で、既存のIPv4アプリケーションを変更してIPv6に対応させる必要があります。アプリケーションは第三者のAPIやクラウドサービスと通信するためにインターネット接続が必要ですが、セキュリティポリシーにより、外部からインスタンスへの通信は禁止されています。現在のアーキテクチャでは、プライベートサブネット内のEC2インスタンスはパブリックサブネットのNATゲートウェイを通じてIPv4インターネット接続を行っています。IPv6接続を追加するために、ネットワークエンジニアは何をすべきでしょうか?

まとめ

Egress-Only Internet GatewayによるIPv6アウトバウンド専用通信は、IPv6環境でのセキュリティ要件を満たしながら外部API接続を実現する重要な技術です。デュアルスタック環境での適切な技術選択と実装時の注意点を理解することで、現代的なクラウドアーキテクチャを構築できます。

Egress-Only Internet Gatewayは、IPv6環境においてアウトバウンド専用のインターネット接続実現する専用サービス。インターネットからの着信接続を完全にブロックしながら、外部IPv6サービスとの通信を可能にします。

IPv4ではNATゲートウェイIPv6ではEgress-Only Internet Gateway使用することで、プロトコル別に最適化されたアウトバウンド通信を実現。Amazon提供のIPv6 CIDRブロック使用が必須です。

IPv6 CIDR設計ルートテーブル設定重要なポイント。VPCレベルのIPv6有効化から始まり、サブネット設定、Egress-Only IGWの作成・アタッチ、ルートテーブル更新の順序で実装します。

これらの実装パターンにより、IPv6の特性を活用しながらセキュリティ要件を満たすネットワークアーキテクチャを構築できます。IPv6とIPv4の違いの理解適切な技術選択が成功の鍵となります。

理解度チェック

IPv6とIPv4でのアウトバウンド通信方法の違い(Egress-Only IGW vs NATゲートウェイ)を説明できるか?

デュアルスタック環境でのCIDR設計とルーティング設定の考え方を理解しているか?

Egress-Only IGWの実装手順(VPC設定からルートテーブル更新まで)を順序立てて説明できるか?

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