AWS ANS-C01 対策 エンドツーエンド暗号化による安全なトラフィック転送の実装
Network Load Balancer(NLB)のTCPパススルー機能とLayer4動作による真のエンドツーエンド暗号化実装を解説。mTLS認証、セッション整合性、低レイテンシー通信を金融・医療アプリケーションでの実践問題で習得します。
この記事のポイント
- 1Network Load Balancer(NLB)のLayer4動作によるTCPパススルー機能と中間復号化を回避する真のエンドツーエンド暗号化の実現原理を理解する
- 2相互TLS(mTLS)認証とgRPCプロトコルによるセキュアな通信設計とEKS環境での実装手法を習得する
- 3金融・医療アプリケーションでの実践問題を通じてセッション整合性と低レイテンシー要件を満たすロードバランシング設計能力を身に付ける
目次
エンドツーエンド暗号化の特徴
エンドツーエンド暗号化は、クライアントとバックエンドサーバー間で送信されるデータが、中間のいかなるポイントでも復号化されることなく、暗号化されたまま転送される技術です。金融サービス、医療アプリケーション、機密データ処理において重要なセキュリティ要件となります。
従来のApplication Load Balancer(ALB)はLayer7で動作し、HTTPSリスナーでSSL/TLS終端を実行するため、中間で復号化が発生します。真のエンドツーエンド暗号化を実現するには、Network Load Balancer(NLB)のLayer4動作が不可欠です。
エンドツーエンド暗号化の識別: 「中間で復号されない」「バックエンドサーバーでのみ復号」「mTLS認証」「gRPCプロトコル」の要件がある場合、NLBのTCPパススルー機能が最適な技術選択となります。
Network Load Balancerの仕組み
Network Load Balancer(NLB)は、Layer4(TCP/UDP)で動作する高性能ロードバランサーです。最大の特徴はTCPパススルー機能による超低レイテンシー通信と、SSL/TLS終端を行わない透過的なトラフィック転送です。
NLBはパケットレベルでのルーティングを実行し、暗号化されたトラフィックをそのままバックエンドサーバーに転送するため、真のエンドツーエンド暗号化を実現できます。
Network Load Balancer(NLB)
Layer4動作。TCPパススルー。SSL/TLS終端なし。中間復号化回避。エンドツーエンド暗号化対応。超低レイテンシー。
Application Load Balancer(ALB)
Layer7動作。HTTPSリスナー。SSL/TLS終端実行。中間復号化発生。エンドツーエンド暗号化不適合。高機能HTTP処理。
CloudFront
CDNサービス。エッジロケーション終端。中間復号化発生。エンドツーエンド暗号化不適合。キャッシュ最適化。
TCPパススルーと中間復号化回避
TCPパススルーは、NLBがTCPコネクションの内容を検査せずに、暗号化されたパケットをそのままバックエンドサーバーに転送する機能です。これにより、クライアントとサーバー間のTLSハンドシェイクが直接実行され、中間での復号化を完全に回避できます。
NLB + TCPリスナー構成により、HIPAA・PCI DSS・金融データ保護など、厳格なセキュリティ要件を満たすエンドツーエンド暗号化を実現します。
相互TLS認証とgRPCプロトコル
相互TLS(mTLS)は、クライアントとサーバーが双方向で証明書を検証する認証方式です。gRPCプロトコルと組み合わせることで、マイクロサービス間のセキュアな通信を実現できます。NLBのTCPパススルーにより、mTLS認証がエンドポイント間で直接実行され、中間での認証情報漏洩リスクを排除します。
実践問題で確認
ここまで学んだエンドツーエンド暗号化の設計原則を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は金融サービス、gRPCマイクロサービス、医療アプリケーションでの典型的なセキュリティシナリオを扱い、適切なロードバランシング選択とアーキテクチャ設計能力を養います。
AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識
練習問題
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練習問題
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練習問題
まとめ
エンドツーエンド暗号化は、Network Load Balancer(NLB)のTCPパススルー機能により、中間での復号化を完全に回避しながら実現できます。Layer4動作による超低レイテンシー通信と直接的なTLS終端により、金融・医療アプリケーションの厳格なセキュリティ要件を満たします。
相互TLS(mTLS)認証、gRPCプロトコル、セッション整合性の要件において、NLBはApplication Load BalancerやCloudFrontでは実現困難な真のエンドツーエンド暗号化を提供し、EKS環境での動的スケーリングと組み合わせた高可用性システムを構築できます。
Network Load Balancer
相互TLS
レガシーアプリケーションの
これらの設計パターンにより、厳格なセキュリティ要件と高性能要件を両立し、コンプライアンス対応とスケーラビリティを確保した暗号化システムを構築できます。問題文の「中間で復号されない」「mTLS」「gRPC」キーワードの識別とNLBのTCPパススルー選択が重要な設計判断となります。
理解度チェック
NLBとALBの暗号化処理の違いを説明し、エンドツーエンド暗号化要件でNLBが選択される理由を理解しているか?