tsumiki-media logo

tsumiki-media

Command Palette

Search for a command to run...

AWS実践
約19分
上級+
8/10
2025年9月14日

AWS ANS-C01 対策 エンドツーエンド暗号化による安全なトラフィック転送の実装

Network Load Balancer(NLB)のTCPパススルー機能とLayer4動作による真のエンドツーエンド暗号化実装を解説。mTLS認証、セッション整合性、低レイテンシー通信を金融・医療アプリケーションでの実践問題で習得します。

この記事のポイント

  • 1
    Network Load Balancer(NLB)のLayer4動作によるTCPパススルー機能と中間復号化を回避する真のエンドツーエンド暗号化の実現原理を理解する
  • 2
    相互TLS(mTLS)認証とgRPCプロトコルによるセキュアな通信設計とEKS環境での実装手法を習得する
  • 3
    金融・医療アプリケーションでの実践問題を通じてセッション整合性と低レイテンシー要件を満たすロードバランシング設計能力を身に付ける

目次

エンドツーエンド暗号化の特徴

エンドツーエンド暗号化は、クライアントとバックエンドサーバー間で送信されるデータが、中間のいかなるポイントでも復号化されることなく、暗号化されたまま転送される技術です。金融サービス医療アプリケーション機密データ処理において重要なセキュリティ要件となります。

従来のApplication Load Balancer(ALB)はLayer7で動作し、HTTPSリスナーでSSL/TLS終端を実行するため、中間で復号化が発生します。真のエンドツーエンド暗号化を実現するには、Network Load Balancer(NLB)のLayer4動作が不可欠です。

判断基準

エンドツーエンド暗号化の識別: 「中間で復号されない」「バックエンドサーバーでのみ復号」「mTLS認証」「gRPCプロトコル」の要件がある場合、NLBのTCPパススルー機能が最適な技術選択となります。

Network Load Balancerの仕組み

Network Load Balancer(NLB)は、Layer4(TCP/UDP)で動作する高性能ロードバランサーです。最大の特徴はTCPパススルー機能による超低レイテンシー通信と、SSL/TLS終端を行わない透過的なトラフィック転送です。

NLBはパケットレベルでのルーティングを実行し、暗号化されたトラフィックをそのままバックエンドサーバーに転送するため、真のエンドツーエンド暗号化を実現できます。

Network Load Balancer(NLB)

Layer4動作。TCPパススルー。SSL/TLS終端なし。中間復号化回避。エンドツーエンド暗号化対応。超低レイテンシー。

Application Load Balancer(ALB)

Layer7動作。HTTPSリスナー。SSL/TLS終端実行。中間復号化発生。エンドツーエンド暗号化不適合。高機能HTTP処理。

CloudFront

CDNサービス。エッジロケーション終端。中間復号化発生。エンドツーエンド暗号化不適合。キャッシュ最適化。

TCPパススルーと中間復号化回避

TCPパススルーは、NLBがTCPコネクションの内容を検査せずに、暗号化されたパケットをそのままバックエンドサーバーに転送する機能です。これにより、クライアントとサーバー間のTLSハンドシェイクが直接実行され、中間での復号化を完全に回避できます。

ベストプラクティス

NLB + TCPリスナー構成により、HIPAA・PCI DSS・金融データ保護など、厳格なセキュリティ要件を満たすエンドツーエンド暗号化を実現します。

相互TLS認証とgRPCプロトコル

相互TLS(mTLS)は、クライアントとサーバーが双方向で証明書を検証する認証方式です。gRPCプロトコルと組み合わせることで、マイクロサービス間のセキュアな通信を実現できます。NLBのTCPパススルーにより、mTLS認証がエンドポイント間で直接実行され、中間での認証情報漏洩リスクを排除します。

実践問題で確認

ここまで学んだエンドツーエンド暗号化の設計原則を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は金融サービス、gRPCマイクロサービス、医療アプリケーションでの典型的なセキュリティシナリオを扱い、適切なロードバランシング選択とアーキテクチャ設計能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある金融サービス企業が、オンラインバンキングアプリケーションを複数のEC2インスタンスでホストしています。このアプリケーションはAuto Scalingグループを使用して、変動する顧客需要に応じてスケーリングします。すべてのトラフィックはエンドツーエンドで暗号化され、途中で復号されることなくインスタンスに到達する必要があります。セキュリティポリシーでは、すべての暗号化されたトラフィックはバックエンドサーバーでのみ復号されることを要求しています。 この企業が要件を満たすために実装すべき最適なロードバランシングソリューションはどれですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある金融サービス企業は、取引処理アプリケーションの新しいマイクロサービスを開発しています。セキュリティ要件として、クライアントとバックエンドサービス間のトラフィックは転送中に暗号化され、中間のいかなるポイントでも復号化されないことが求められています。また、クライアントとバックエンド間の相互認証のために相互TLS(mTLS)を使用する必要があります。 このサービスはgRPCプロトコルをTCPポート443で使用して実装され、数千の同時接続にスケールすることが期待されています。バックエンドサービスはAmazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)クラスター上でホストされ、Kubernetes Cluster AutoscalerとHorizontal Pod Autoscalerが設定されています。 これらの要件を満たすソリューションはどれですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある医療サービス企業が、オンプレミスで運用している患者記録管理システム(PHI情報を含む)をAWSに移行しようとしています。このレガシーシステムは独自のセッション管理メカニズムを使用しており、特定のサーバーに対するユーザーセッションを維持する必要があります。また、このアプリケーションは低レイテンシーのAPIリクエストを処理し、バックエンドデータベースとの長時間接続を維持します。 企業の要件は以下の通りです: - HIPAA要件に準拠した安全なデータ処理 - 移行中のダウンタイムの最小化 - アプリケーションのセッション整合性の維持 - 高可用性の確保 - 既存のアプリケーションコードの変更を最小限に抑える ネットワークエンジニアは、この既存のアプリケーションデプロイとロードバランサーを最適に統合するソリューションを設計する必要があります。 この医療アプリケーションの要件を満たすための最も適切なロードバランシングソリューションはどれですか?

まとめ

エンドツーエンド暗号化は、Network Load Balancer(NLB)TCPパススルー機能により、中間での復号化を完全に回避しながら実現できます。Layer4動作による超低レイテンシー通信と直接的なTLS終端により、金融・医療アプリケーションの厳格なセキュリティ要件を満たします。

相互TLS(mTLS)認証gRPCプロトコルセッション整合性の要件において、NLBはApplication Load BalancerCloudFrontでは実現困難な真のエンドツーエンド暗号化を提供し、EKS環境での動的スケーリングと組み合わせた高可用性システムを構築できます。

Network Load Balancer(NLB)Layer4動作により、暗号化されたトラフィックをSSL/TLS終端せずにそのままバックエンドサーバーに転送。中間での復号化を完全に回避した真のエンドツーエンド暗号化を実現します。

相互TLS(mTLS)認証よりクライアントとサーバーの双方向証明書検証を実行。gRPCプロトコルとの組み合わせでマイクロサービス間のセキュアな通信を実現し、数千の同時接続サポートします。

レガシーアプリケーションの独自セッション管理長時間データベース接続対応。NLBの超低レイテンシー通信により、HIPAA・PCI DSS準拠医療・金融アプリケーション要件を満たします。

これらの設計パターンにより、厳格なセキュリティ要件高性能要件を両立し、コンプライアンス対応スケーラビリティを確保した暗号化システムを構築できます。問題文の「中間で復号されない」「mTLS」「gRPC」キーワードの識別とNLBのTCPパススルー選択が重要な設計判断となります。

理解度チェック

NLBとALBの暗号化処理の違いを説明し、エンドツーエンド暗号化要件でNLBが選択される理由を理解しているか?

他の問題も解いてみませんか?

tsumikiでは、AWS認定試験の合格に必要な知識を体系的に学習できます。実践的な問題を通じて、AWSスキルを身につけましょう。