tsumiki-media logo

tsumiki-media

Command Palette

Search for a command to run...

AWS実践
約18分
上級+
8/10
2025年9月11日

AWS ANS-C01 対策 密結合型HPCワークロードによる超低レイテンシー並列計算の最適化

Elastic Fabric Adapter(EFA)とクラスタープレイスメントグループを活用した密結合型HPCワークロードの設計と実装を解説。MPI通信最適化、OS-bypassネットワーキング、超低レイテンシー並列計算を実践問題で習得します。

この記事のポイント

  • 1
    Elastic Fabric Adapter(EFA)による OS-bypass ネットワーキングと超低レイテンシー通信の実現原理を理解する
  • 2
    クラスタープレイスメントグループによる物理的近接配置とMPI通信最適化の設計手法を習得する
  • 3
    科学シミュレーション・ゲノム解析での実践問題を通じて密結合型HPCワークロード設計能力を身に付ける

目次

密結合型HPCワークロードの特徴

密結合型HPCワークロードは、複数の計算ノードが頻繁かつ大量にデータを交換しながら協調して動作する、高性能コンピューティングアプリケーションです。科学シミュレーション分子動力学計算ゲノム解析などで使用され、MPI(Message Passing Interface)による並列計算が特徴です。

従来のクラウド環境では、ネットワークレイテンシー帯域幅制限がボトルネックとなり、オンプレミスHPCクラスターと比較してパフォーマンスが劣化していました。AWSではElastic Fabric Adapter(EFA)クラスタープレイスメントグループにより、この課題を解決しています。

判断基準

密結合型ワークロードの特徴: 「MPI」「ノード間通信」「並列計算」「低レイテンシー」「大量データ交換」の要件がある場合、EFA + クラスタープレイスメントグループの組み合わせが最適な技術選択となります。

Elastic Fabric Adapter(EFA)の仕組み

EFAは、HPCワークロード専用に設計された高性能ネットワークインターフェイスです。最大の特徴はOS-bypassテクノロジーによる超低レイテンシー通信の実現です。従来のTCP/IP通信では、データがカーネル空間を経由するため遅延が発生しますが、EFAではアプリケーションが直接ネットワークハードウェアにアクセスできます。

Elastic Fabric Adapter(EFA)

HPC専用設計。OS-bypassによる超低レイテンシー。MPIアプリケーション最適化。最大100Gbps帯域幅。密結合型ワークロードに最適。

Elastic Network Adapter(ENA)

汎用ネットワーキング。TCP/IPプロトコル依存。一般的なアプリケーション向け。最大100Gbps帯域幅。疎結合型ワークロードに適用。

判断基準

HPCワークロードで「MPI」「低レイテンシー」「ノード間大量通信」の要件がある場合はEFAが適切。一般的なネットワーキングや疎結合型アプリケーションではENAが適切な選択となります。

クラスタープレイスメントグループの最適化

クラスタープレイスメントグループは、EC2インスタンスを物理的に近接したハードウェア上に配置する機能です。密結合型HPCワークロードでは、単一アベイラビリティーゾーン内での配置により、ネットワークレイテンシーを最小化し、10Gbps以上の高帯域幅通信を実現します。

クラスタープレイスメントグループ

単一AZ内で物理的近接配置。HPCワークロード用。超低レイテンシー通信。最大帯域幅10Gbps。密結合型並列計算に最適。

スプレッドプレイスメントグループ

異なるハードウェアに分散配置。高可用性重視。レイテンシー増加。HPCには不適切。障害分離が主目的。

パーティションプレイスメントグループ

論理パーティション単位での分散。中程度の分離。大規模分散ワークロード用。HPCには中間的な選択肢。

MPI通信とOS-bypassネットワーキング

MPI(Message Passing Interface)は、並列計算において複数のプロセス間でデータを効率的に交換するための標準インターフェイスです。EFAのOS-bypassテクノロジーにより、MPIライブラリがカーネル空間を経由せずに直接ネットワークハードウェアにアクセスし、マイクロ秒レベルの低レイテンシーを実現します。

ベストプラクティス

EFA有効インスタンス + クラスタープレイスメントグループ + 単一VPC・単一サブネットのセットがHPCワークロードの標準構成です。

実践問題で確認

ここまで学んだ密結合型HPCワークロードの設計原則を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は航空宇宙、医療研究、科学計算での典型的なHPCシナリオを扱い、適切なネットワーキング選択とアーキテクチャ設計能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある航空宇宙企業は、大規模な流体力学シミュレーションを実行するためのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)クラスターをAWS上に構築しています。このワークロードは大量のノード間通信を必要とし、クラスター内の計算ノード間で膨大なデータを迅速に転送する必要があります。エンジニアリングチームは、シミュレーション実行時間を短縮し、計算効率を最大化するために、ノード間の通信パフォーマンスを最適化したいと考えています。シミュレーションソフトウェアはMPI(Message Passing Interface)プロトコルを使用して並列計算を行います。ネットワークエンジニアはどのようなアプローチを取るべきですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある医療研究機関は、ゲノム配列データの解析を行うための新しいハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境をAWS上に構築しようとしています。このワークロードには以下の特性があります: ・ノード間で大量のデータ(数百GBから数TB)を頻繁に交換する必要がある ・分子動力学シミュレーションを実行するためにノード間で低レイテンシー通信が必要である ・Message Passing Interface(MPI)を使用した並列計算処理を行う ・1つのジョブが最大50のEC2インスタンスにまたがって実行される ・解析結果は共有ストレージに保存され、他のアプリケーションからアクセスされる 研究チームはコスト効率と計算パフォーマンスのバランスを取りながら、このHPCワークロードに最適なネットワーキングソリューションを選択する必要があります。 どのAWSネットワークインターフェイスの組み合わせが、このHPCワークロードのパフォーマンス要件を最もよく満たしますか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

研究機関が大規模なゲノム解析ワークロードをAWS上で実行しています。アプリケーションは膨大な量のデータを処理し、異なるEC2インスタンス間でデータを転送する必要があります。処理はMPIフレームワークを使用しており、インスタンス間で低いレイテンシーと高いスループットが要求されます。最近の負荷テストでは、ネットワークがボトルネックとなり、分析時間が許容範囲を超えていることが確認されました。 ネットワークエンジニアは、EC2インスタンス間の通信パフォーマンスを改善するために何をすべきですか?(2つ選択)

まとめ

密結合型HPCワークロードは、Elastic Fabric Adapter(EFA)クラスタープレイスメントグループの組み合わせにより、AWS上でもオンプレミスHPCクラスターと同等の性能を実現できます。

OS-bypassテクノロジーによる超低レイテンシー通信と、物理的近接配置による高帯域幅通信により、科学シミュレーション、ゲノム解析、分子動力学計算など、最も要求の厳しい並列計算ワークロードにおいても優れた性能を発揮します。

Elastic Fabric Adapter(EFA)OS-bypassテクノロジーにより、MPIアプリケーションがカーネル空間を経由せずに直接ネットワークハードウェアにアクセス。マイクロ秒レベルの超低レイテンシー実現します。

クラスタープレイスメントグループより、EC2インスタンスを同一ハードウェアラック内に配置。ノード間の物理的距離を最小化し、最大100Gbpsの高帯域幅通信実現します。

Message Passing Interface(MPI)よるノード間並列計算で、数TB規模のデータ交換を効率化。科学シミュレーション、ゲノム解析、分子動力学計算の実行時間を大幅短縮します。

これらの設計パターンにより、従来のクラウド環境でのHPC性能制約を解決し、研究開発の革新を加速する高性能計算基盤を構築できます。問題文の「MPI」「ノード間通信」キーワードの識別とEFA + クラスタープレイスメントグループの組み合わせ選択が重要な設計判断となります。

理解度チェック

EFAとENAの技術的違いを説明し、HPCワークロードでEFAが選択される理由を理解しているか?

クラスター・スプレッド・パーティションプレイスメントグループの特性と、HPCワークロードに最適な選択を判断できるか?

MPI通信におけるOS-bypassテクノロジーの効果と、単一AZ・単一サブネット配置の重要性を説明できるか?

他の問題も解いてみませんか?

tsumikiでは、AWS認定試験の合格に必要な知識を体系的に学習できます。実践的な問題を通じて、AWSスキルを身につけましょう。