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AWSベストプラクティス
約18分
上級+
8/10
2025年9月15日

AWS ANS-C01 対策 ハブアンドスポークネットワークモデルによる効率的なマルチVPC接続

Transit Gatewayを活用したハブアンドスポークネットワークモデルの設計と実装を解説。3つのルートテーブル設計による部門間分離、アプリケーションモードの活用、実践的な問題演習でネットワーク設計スキルを習得します。

この記事のポイント

  • 1
    Transit Gatewayによるハブアンドスポークアーキテクチャの設計原則と適用判断基準を理解する
  • 2
    3つのルートテーブル設計(アプリケーション用、セキュリティ管理用、共有サービス用)による部門間分離とゼロトラスト原則の実装方法を把握する
  • 3
    アプリケーションモードの役割と実践的な問題演習を通じてネットワーク設計スキルを習得する

目次

ハブアンドスポークモデル

ハブアンドスポークネットワークモデルは、中央のハブ(Transit Gateway)を通じて複数のスポーク(VPCやオンプレミス環境)を接続する、スケーラブルなネットワークアーキテクチャです。

従来のフルメッシュ型VPCピアリングと比較して、管理の簡素化コスト効率性きめ細かな制御を実現し、大規模なマルチVPC環境に最適です。

Transit Gatewayによるハブアンドスポークネットワークアーキテクチャ

Transit Gatewayによるハブアンドスポークネットワークアーキテクチャ

上図に示すように、ハブアンドスポークアーキテクチャではTransit Gatewayが中央ハブとして機能し、複数のVPCとオンプレミス環境を効率的に接続します。

従来のフルメッシュ型接続では管理が複雑になりがちでしたが、このモデルにより一元的な制御スケーラブルな拡張性を同時に実現できます。

管理複雑性の劇的削減

50個のVPCの場合、従来の1,225個のピアリング接続が50個のアタッチメントに削減され、運用負荷を大幅に軽減します。

柔軟なセキュリティ制御

複数のルートテーブルにより、部門間分離、環境別アクセス制御、共有リソースへの選択的アクセスを実現できます。

コスト効率性の向上

接続数の線形増加により、スケールに応じたコスト効率を実現し、大規模環境でも経済的な運用が可能です。

グローバル展開への対応

Transit Gateway Peeringにより複数リージョン間の接続が可能で、世界規模のネットワークアーキテクチャを構築できます。

ハイブリッドクラウド統合

Direct Connect Gatewayとの連携により、オンプレミス環境とのシームレスな統合を実現し、一貫したネットワーク体験を提供します。

ハブアンドスポークモデルの採用判断

ハブアンドスポークモデルの採用判断は、VPC数とセキュリティ要件の複雑さが主要な決定要因となります。小規模環境では従来のVPCピアリングでも十分ですが、一定規模を超えると管理効率とコストの観点から明確な優位性が現れます。

判断基準

VPCピアリング vs ハブアンドスポーク: 5個以下のVPCではピアリングが簡単ですが、10個以上では管理複雑性とコストを考慮してハブアンドスポークモデルが有利です。特に異なる環境間の分離が必要な場合は必須です。

ルートテーブル設計の基本原則

効果的なハブアンドスポークアーキテクチャでは、適切なルートテーブル設計が成功の鍵となります。単一のルートテーブルでは全VPCが相互通信可能となりセキュリティリスクが高まり、逆に過度な分離は管理複雑性を増大させます。

一般的には3つのルートテーブルを使用することで、必要最小限の通信のみを許可するゼロトラスト原則を実現しながら、運用効率を維持できます。

1
アプリケーション用ルートテーブル: 部門VPCを接続し、相互通信を制限して部門間分離を実現し、共有サービスVPCとオンプレミスへのアクセスのみ許可します。
2
セキュリティ管理用ルートテーブル: 管理VPCを接続し、全ネットワークリソースへのアクセスを許可してセキュリティチームによる統一的な監視・制御を実現します。
3
共有サービス用ルートテーブル: 共有サービスVPCを接続し、全アプリケーションVPCからのアクセスを受け入れ、NAT GatewayやDNSなどの共通機能を提供します。
ベストプラクティス

3つのルートテーブル(アプリケーション用、セキュリティ管理用、共有サービス用)が一般的な設計パターンです。これにより適切な分離と必要な接続性のバランスを実現できます。

🔍アプリケーションモード

アプリケーションモードは、Transit Gatewayアタッチメントの設定オプションで、非対称ルーティングを防止します。特にセキュリティアプライアンスやファイアウォールなど、ステートフルな処理を行う機器が含まれるVPCで有効にする必要があります。このモードにより、同一フローの往復トラフィックが必ず同じパスを通ることが保証され、セキュリティアプライアンスの正常な動作を確保できます。

大規模環境での設計考慮事項

50以上のVPCを持つ大規模環境では、単純なルートテーブル設計だけでなく、スケーラビリティ運用効率性を両立する追加の考慮事項が重要になります。

複数ルートテーブルによる階層化制御では、VPC数の増加に応じてルートテーブルを機能別に分離し、管理複雑性を制御します。Direct Connect Gateway統合により、オンプレミス環境との接続で許可されたプレフィックスリストを使用してルート伝播を制御し、ルーティングテーブルサイズを最適化できます。

50以上のVPCを持つ大規模環境

複数のルートテーブルでVPC間通信を制御し、Direct Connect Gateway + 許可されたプレフィックスリストでオンプレミス統合のルート伝播を最適化することが設計で重要です。

実践問題で確認

ここまで学んだハブアンドスポークネットワークモデルを、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生する複雑なネットワーク要件に基づいており、適切なアーキテクチャ設計能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある医療機関は、eu-west-1リージョンに5つのVPCを持っています:1つのセキュリティ管理VPC、3つの異なる部門のアプリケーションVPC、1つの共有サービスVPC。現在、AWS Direct Connectを通じてオンプレミスデータセンターに接続されていますが、各VPC間の通信とオンプレミス環境へのアクセスを最適化するためにハブアンドスポークモデルを実装したいと考えています。 ネットワークエンジニアはTransit Gatewayを作成し、デフォルトのルートテーブル関連付けとデフォルトのルートテーブル伝播をオフにしました。すべてのVPCとDirect Connect Gatewayを Transit Gatewayにアタッチし、各VPCルートテーブルにTransit Gatewayをネクストホップとする0.0.0.0/0へのルートを追加しました。 セキュリティ要件として、部門のアプリケーションVPC同士は相互に通信できないようにする必要がありますが、すべてのVPCはオンプレミス環境および共有サービスVPCと通信できる必要があります。また、セキュリティ管理VPCからはすべてのネットワークリソースにアクセスできる必要があります。 この設計要件を満たすために、ネットワークエンジニアはどのような構成ステップを実行する必要がありますか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

あるヘルスケア企業は、中央集権型の共有サービスVPCに複数のアベイラビリティーゾーンにまたがってステートフルなセキュリティアプライアンスをデプロイしています。AWS環境には、アプリケーションVPCと共有サービスVPCに接続されたトランジットゲートウェイが含まれています。アプリケーションVPCには、複数のアベイラビリティーゾーンのプライベートサブネットにデプロイされた患者データ処理ワークロードがあります。共有サービスVPCのステートフルアプライアンスは、すべてのイーストウェスト(VPC間)トラフィックを検査します。 ユーザーは、異なるアベイラビリティーゾーン間のVPC間トラフィックが断続的に切断されると報告しています。ネットワークエンジニアは、異なるアプリケーションVPC間の異なるアベイラビリティーゾーンにあるワークロード間でICMP(Internet Control Message Protocol)pingを発行してこの問題を確認しました。エンジニアは、セキュリティグループ、ステートフルデバイスの構成、ネットワークACLが原因ではないと判断しました。 トラフィックが切断される原因は何ですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある製造業企業が50以上のVPCを持つAWSインフラストラクチャを運用しています。これらのVPCはすべて同一リージョン内にあり、各VPCは異なる製造施設のアプリケーションをホストしています。企業は「ハブアンドスポーク」アーキテクチャを実装し、すべてのVPCを相互接続すると同時に、VPC間のセキュリティと通信パターンを制御したいと考えています。また、AWS Direct Connectを介してオンプレミスデータセンターとの接続も必要です。 このシナリオに対するネットワークアーキテクチャを設計する際に考慮すべき重要な要素を2つ選んでください。

まとめ

Transit Gatewayによるハブアンドスポークネットワークモデルは、大規模なマルチVPC環境におけるスケーラビリティ管理効率性セキュリティ制御を同時に実現する最適なアーキテクチャです。

3つのルートテーブル設計(アプリケーション用、セキュリティ管理用、共有サービス用)により、部門間分離とゼロトラスト原則を実現しながら、50以上のVPCでも線形増加の接続管理で運用効率を維持できます。

VPCピアリングのn(n-1)/2接続と比較して線形増加(n接続)を実現し、50以上のVPCでも効率的な管理を可能にします。新しいVPCの追加時は1つのアタッチメントのみで全体接続が完了し、運用オーバーヘッドを劇的に削減します。

アプリケーション用(部門VPC間分離)、セキュリティ管理用(全リソースアクセス)、共有サービス用(共通機能提供)の3つのルートテーブルにより、ゼロトラスト原則に基づく>きめ細かなトラフィック制御実現します。

Transit Gateway Peeringよるクロスリージョン接続とDirect Connect Gatewayよるオンプレミス統合により、世界規模のハブアンドスポークアーキテクチャを構築。一貫したルーティングポリシーとセキュリティ制御をグローバル全体実現します。

これらの設計パターンにより、従来のフルメッシュ型接続の複雑性を解決し、企業の成長に対応できるスケーラブルなネットワークアーキテクチャを構築できます。VPC数の規模(10個以上でハブアンドスポーク推奨)とセキュリティ要件の複雑性に基づく適切な設計選択が成功の鍵となります。

理解度チェック

ハブアンドスポークモデルとVPCピアリングの適用場面とスケーラビリティの違いを説明できるか?

3つのルートテーブル設計(アプリケーション用、セキュリティ管理用、共有サービス用)による部門間分離とゼロトラスト原則の実装方法を理解しているか?

アプリケーションモードの役割と、セキュリティアプライアンス使用時の非対称ルーティング防止の重要性を説明できるか?

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