Lambda スロットリング トラブルシューティング
Lambda関数の同時実行数制限によるRate Exceededエラー、スロットリング問題の解決策を解説。Service Quota制限引き上げ、プロビジョンドコンカレンシー設定、予約同時実行数によるトラブルシューティング技術を習得します。
この記事のポイント
- 1Lambda関数のRate ExceededエラーとスロットリングエラーのService Quota制限引き上げとプロビジョンドコンカレンシー設定の効果的な実装方法を理解する
- 2大量リクエスト処理における予約同時実行数設定とSQSバッチサイズ調整による最適化技術を習得し、スケーラビリティ問題の解決手法を身に付ける
目次
Lambda同時実行数制限の概要
AWS Lambdaの同時実行数制限は、関数が同時に実行できるインスタンス数に関する制約で、大量処理で頻繁に発生する課題です。主にRate Exceededエラー、スロットリングエラー、パフォーマンス劣化の3つの症状として現れ、アプリケーションの可用性とユーザーエクスペリエンスに直接影響します。
AWSアカウントごとのデフォルト同時実行数制限は1,000で、リージョン内のすべてのLambda関数で共有されます。これらの問題は相互に関連し合いながら発生することが多く、適切な診断と対策が必要です。
Rate Exceededエラー
Rate Exceededエラーは、Lambda関数が同時実行数制限に達した際に発生する最も一般的なエラーです。新しいリクエストが処理できずに拒否され、アプリケーションの機能停止を引き起こします。
原因と症状
Rate Exceededエラーの主な原因はアカウント全体の同時実行数制限(デフォルト1,000)の超過です。特に複数のLambda関数が同時に実行される環境や、大量のデータ処理が発生する場合に制限に到達します。
症状として、CloudWatchログにRate Exceeded
エラーが記録され、API Gatewayからは500エラーが返されます。
解決策
Rate Exceededエラーの解決にはService Quota制限引き上げが最も効果的です。AWS Support CenterまたはService Quotasコンソールから同時実行数制限を1,000から必要な値(例:5,000)まで引き上げることで根本的に解決できます。
プロビジョンドコンカレンシーの設定も重要な対策です。重要なLambda関数に事前に実行環境を確保することで、他の関数による制限圧迫を防ぎ、一貫したパフォーマンスを提供できます。
Service Quota制限引き上げはAWS Support Centerから「Concurrent executions」の制限値変更をリクエストし、ビジネス要件に応じて1,000から5,000-10,000まで拡張できます。
Service Quota制限引き上げによるアカウント全体の同時実行数拡張とプロビジョンドコンカレンシー設定により、Rate Exceededエラーを根本的に解決し安定したスケーラビリティを確保できます。
スロットリングエラー
スロットリングエラーは、関数レベルの同時実行制限や急激なリクエスト増加により発生する制限エラーです。Rate Exceededとは異なり、関数固有の制約に起因します。
原因と症状
スロットリングの根本原因は急激なトラフィック増加とバースト制限です。Lambdaは初期バーストで1,000の同時実行、その後毎分500ずつ増加する制限があり、瞬間的な大量リクエストで制限に到達します。
症状として、CloudWatchメトリクスでThrottlesとErrorsが急増し、API応答時間が増加します。
解決策
スロットリング問題の解決にはプロビジョンドコンカレンシーの設定が最も効果的です。予想されるピーク時の同時実行数を事前に確保し、コールドスタートとスロットリングを同時に防げます。
予約同時実行数の設定も重要な手法です。重要な関数に専用の実行枠を割り当てることで、他の関数による影響を回避し、安定したパフォーマンスを確保できます。
プロビジョンドコンカレンシーは指定した数の実行環境を常時待機状態で維持し、リクエスト到着時に即座に処理を開始できます。コールドスタート時間(数秒)を削除し、スロットリングリスクも軽減します。
プロビジョンドコンカレンシーによる事前環境確保と予約同時実行数設定により、スロットリングエラーを防止し、安定した応答時間とスループットを実現できます。
パフォーマンス最適化
パフォーマンス最適化は、同時実行数制限内でより効率的な処理を実現する手法です。リソース設定とアーキテクチャ改善により、制限の影響を最小化できます。
原因と症状
パフォーマンス問題の原因はメモリ不足と非効率なバッチ処理です。メモリ割り当てが不十分な場合、実行時間が延長し、同時実行スロットを長時間占有します。
症状として、CloudWatchで実行時間とメモリ使用率が高く、Duration メトリクスが増加傾向を示します。
解決策
パフォーマンス最適化にはメモリ設定の増加が効果的です。メモリを128MBから1,024MB以上に増加することで、CPU性能も比例して向上し、実行時間を短縮できます。
SQSバッチサイズの調整も重要な最適化手法です。バッチサイズを10に設定することで、個別処理のオーバーヘッドを削減し、スループットを向上させながら同時実行数の使用効率を改善できます。
メモリ設定増加による実行時間短縮とSQSバッチサイズ調整による処理効率化により、同時実行スロットの使用効率を最大化し、より多くのリクエストを処理できます。
実践問題で確認
ここまで学んだLambda同時実行数制限のトラブルシューティング手法を、練習問題で確認します。各問題はService Quota制限、プロビジョンドコンカレンシー、パフォーマンス最適化での典型的なトラブルシューティングシナリオを扱い、適切な制限管理とスケーラビリティ対応能力を養います。
AWS認定データエンジニア - アソシエイト
練習問題
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練習問題
まとめ
AWS Lambdaの同時実行数制限問題は、Service Quota制限引き上げとプロビジョンドコンカレンシーによる根本的な解決と、予約同時実行数とSQSバッチサイズ調整による効率化で対処できます。Rate Exceededエラー、スロットリング問題、パフォーマンス劣化といった様々な症状に応じた最適解選択が重要です。
問題の性質を即座に判断し、制限超過にはService Quota引き上げ、ピーク対応にはプロビジョンドコンカレンシー、効率化にはバッチ処理という技術マッピングを確実に行うことで、スケーラブルで安定したサーバーレスアーキテクチャを実現できます。