tsumiki-media logo

tsumiki-media

Command Palette

Search for a command to run...

AWSベストプラクティス
約19分
上級+
8/10
2025年9月4日

AWS ANS-C01 対策 AWS PrivateLink を活用したサービスエンドポイント統合アーキテクチャ

AWS PrivateLinkによるサービスエンドポイント統合方法を解説。IPアドレス重複環境でのプライベート接続、最小権限でのサービス公開、SaaS/API提供における実践的なアーキテクチャを実際の問題で理解します。

この記事のポイント

  • 1
    AWS PrivateLinkによるIPアドレス重複環境での接続方法を理解する
  • 2
    最小権限の原則に基づくサービス間プライベート接続の実装を把握する
  • 3
    SaaS/APIサービス提供におけるPrivateLinkアーキテクチャを習得する

目次

1
エンドポイントサービスの設定
サービス提供者側でALB/NLBの背後にサービスエンドポイントを作成し、承認機能を有効化
  • 承認が必要なサービスの場合は要承認設定で制御
2
VPC エンドポイントの作成
サービス利用者のVPC内でPrivateLinkエンドポイントを作成し、専用のプライベートIPを取得
  • IPアドレス重複問題を回避する専用IP割り当て
3
DNS による名前解決
プライベートDNS機能により、サービスのFQDNが自動的にエンドポイントIPに解決される
  • アプリケーションコード変更なしでプライベート接続を実現
4
セキュリティグループによる制御
エンドポイント用セキュリティグループで詳細なアクセス制御を実行
  • ポートレベルでの最小権限アクセスを実現
5
トラフィックの分離・転送
すべての通信がAWSプライベートネットワーク内で完結し、インターネット経由なし
  • データ主権とプライバシー要件を満たす完全分離
6
接続の監視・ログ記録
VPC Flow LogsとCloudTrailによる包括的な接続監視とコンプライアンス対応
  • 監査要件に対応した詳細なアクセスログ

主要な使用場面の判断基準

PrivateLinkが最適な選択となるのは、VPC間の全面的な接続ではなく特定サービスへの限定的なアクセスが求められる場面です。

IPアドレス重複環境での対応

SaaSプロバイダと顧客VPCでCIDRブロックが重複している場合、従来のVPC PeeringやTransit Gatewayでは接続が不可能です。PrivateLinkは専用のエンドポイントIPを提供することで、この制約を解決します。

専用IP割り当て

エンドポイント専用のプライベートIPアドレスが自動割り当てされ、既存のIPアドレス設計に影響しません。

DNS 自動解決

プライベートDNS機能により、既存のFQDNがエンドポイントIPに自動解決され、アプリケーション変更が不要です。

完全な分離

各顧客のVPCが相互に可視になることなく、サービスプロバイダのみへのアクセスを実現します。

スケーラブル運用

新しい顧客追加時もプロバイダ側の追加設定のみで対応でき、運用負荷を最小化できます。

判断基準

VPC Peering vs PrivateLink: VPC Peeringは双方向の全面的なネットワーク接続を提供しますが、IPアドレス重複時は利用不可です。PrivateLinkは一方向の特定サービスアクセスに特化し、IPアドレス重複環境でも確実に動作します。

最小権限でのサービスアクセス

医療機関金融機関では、複数の部門が中央の共有サービスにアクセスする際、部門間の直接通信を防ぎつつ、必要最小限のサービスアクセスのみを許可する必要があります。

1
共有サービス VPC の設計
中央集権的な共有サービス(データベース、APIサーバー等)をホストする専用VPCを構築
  • 各種共有リソースへの統制されたアクセスポイント
2
エンドポイントサービスの作成
共有サービスVPC内でPrivateLinkエンドポイントサービスを作成し、特定のサービスのみを公開
  • 全VPCリソースではなく特定サービスのみの限定公開
Note:データベースへの直接アクセスではなくAPIレイヤー経由でのアクセス制御
3
部門別 VPC エンドポイント
各部門のVPCに必要なサービスへのエンドポイントのみを作成し、不要なサービスへのアクセスを排除
  • 部門ごとに異なるアクセス権限の実現
4
きめ細かい権限制御
エンドポイント単位でのセキュリティグループ設定により、ポートレベルでの詳細制御
  • 部門間の相互アクセス防止とデータ分離
🔍最小権限の原則

最小権限の原則(Principle of Least Privilege)は、各ユーザーやシステムに対して、業務遂行に必要最小限の権限のみを付与するセキュリティの基本原則です。PrivateLinkでは、VPC間の全面的な接続(VPC Peering、Transit Gateway)ではなく、特定のサービスエンドポイントへの限定的なアクセスを提供することで、この原則を実現します。これにより、部門間の不要な通信を防ぎ、データ漏洩やセキュリティ侵害のリスクを最小化できます。

SaaS/APIサービス提供パターン

機械学習APIデータ分析サービスを外部パートナーにプライベートに提供する場合、PrivateLinkによるサービス公開が最も効率的なアプローチです。

運用負荷の最小化

新しいパートナー追加時も承認設定のみで対応でき、複雑なVPCピアリング管理が不要です。

セキュリティの強化

パートナー同士が相互に可視になることなく、サービスプロバイダのみとの接続を実現します。

スケーラビリティ

NLBとの組み合わせにより、大量のパートナーからのアクセスに対応できるスケーラブルな構成を構築できます。

コスト効率

帯域幅ベースの課金により、使用量に応じた効率的なコスト管理が可能です。

ベストプラクティス

ALB vs NLB の選択: PrivateLinkのエンドポイントサービスではNLBが必須です。ALBではエンドポイントサービスを作成できないため、HTTP/HTTPSサービスでもNLB → ALB の構成が必要になります。

実践問題で確認

ここまで学んだAWS PrivateLinkによるサービスエンドポイント統合を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生するプライベート接続要件に基づいており、適切なアーキテクチャ選択能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

あるSaaSプロバイダは、AWSクラウド内のVPC上にあるAmazon EC2インスタンスでソリューションをホストしています。このプロバイダのすべての顧客も、環境をAWSクラウド上に持っています。最近の設計会議で、顧客のIPアドレスがプロバイダのAWSデプロイメントと重複していることが明らかになりました。顧客は自社の内部IPアドレスを共有せず、インターネット経由でプロバイダのSaaSサービスに接続したくないと述べています。この要件を満たすため、SaaS企業はどのようなアプローチを取るべきですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある医療機関は、患者モニタリングシステムをモダナイズしようとしています。この機関には複数の診療科(内科、外科、小児科など)があり、各診療科は独自のアプリケーションを設計・維持しています。これらのアプリケーションは同じAWSリージョン内の個別のアプリケーションVPCで、各診療科独自のAWSアカウントにホストされています。各診療科のアプリケーションは、中央の共有サービスVPCから患者データにアクセスするように設計されています。 この医療機関は、ネットワーク接続アーキテクチャがきめ細かいセキュリティコントロールを提供することを望んでいます。また、アーキテクチャは将来さらに多くの診療科が中央の共有サービスVPCからデータを利用するようになっても拡張可能である必要があります。さらに、医療データのプライバシーとセキュリティは最重要事項です。 これらの要件を最も安全な方法で満たすソリューションはどれですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある企業は、EC2インスタンスで実行される機械学習推論APIを開発しました。このサービスはAuto Scalingグループ内の複数のEC2インスタンスにデプロイされ、プライベートサブネット内に配置されています。現在、Application Load Balancer(ALB)がこれらのインスタンスにトラフィックを分散しています。企業は特定のパートナー企業(それぞれが独自のAWSアカウントを持つ)にのみ、このAPIサービスへのアクセスを許可する必要があります。運用負荷を最小限に抑えながら、この要件を満たすための最適なアプローチはどれですか?(2つ選択してください)

まとめ

AWS PrivateLinkによるサービスエンドポイント統合は、IPアドレス重複最小権限アクセスSaaS/API提供において最適な選択肢です。特定サービスへの限定的なアクセスにより、VPC間の全面的な接続を避けつつ、セキュリティとスケーラビリティを両立できます。

これらの実装パターンにより、従来のVPC接続の制約を克服し、プライバシーとセキュリティを重視したクラウドアーキテクチャを構築できます。接続要件の詳細性セキュリティレベルに基づく適切な技術選択が重要なポイントとなります。

理解度チェック

PrivateLinkとVPC Peering/Transit Gatewayの使い分けの基準を説明できるか?

IPアドレス重複環境でのPrivateLinkによる解決方法を理解しているか?

エンドポイントサービスとVPCエンドポイントの設計と実装を説明できるか?

他の問題も解いてみませんか?

tsumikiでは、AWS認定試験の合格に必要な知識を体系的に学習できます。実践的な問題を通じて、AWSスキルを身につけましょう。