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AWSベストプラクティス
約19分
上級
7/10
2025年8月29日

AWS ANS-C01 対策 AWS Resource Access Manager (RAM) を活用した一括管理アーキテクチャ

AWS Resource Access Manager (RAM)による複数アカウント間でのリソース一括管理を解説。プレフィックスリスト共有、VPCサブネット共有、マルチアカウント環境での中央集権管理と分散デプロイの両立を実践問題で理解します。

この記事のポイント

  • 1
    AWS RAMによるプレフィックスリスト共有でセキュリティグループを一元管理する方法を理解する
  • 2
    VPCサブネット共有による中央集権ネットワーク管理と分散デプロイの両立を把握する
  • 3
    マルチアカウント環境での運用負荷軽減と標準化実現のベストプラクティスを習得する

目次

AWS RAMによる一括管理

AWS Resource Access Manager (RAM)は、複数のAWSアカウント間で特定のリソースを安全に共有できるサービスです。マルチアカウント環境において、一元管理分散デプロイを両立させる重要な機能を提供します。

RAMの核心は、リソースの所有権を維持しながら使用権限を他のアカウントに付与することです。これにより、運用負荷を削減しつつ、組織全体での標準化と一貫性を実現できます。

AWS RAMによるマルチアカウントリソース共有アーキテクチャ

AWS RAMによるマルチアカウントリソース共有アーキテクチャ

この図は、AWS RAMによるマルチアカウント環境での6段階のリソース共有プロセスを示しています。以下の手順により、中央集権的なセキュリティ管理と各チームの自律的なデプロイが両立します。

1
中央管理体制の構築
セキュリティ管理者がAWS Organizationsを通じて組織全体を統制し、一貫したガバナンス体制を構築します。
2
ネットワーク基盤リソースの作成
Network Account(中央管理アカウント)で、共有VPC、プレフィックスリスト(IPアドレス範囲の集合)、共有サブネットを作成します。
3
AWS RAMでのリソース共有設定
作成したプレフィックスリストと共有サブネットをAWS RAMサービスに登録し、Organization内の特定のアカウントまたはOUに共有設定を行います。
4
アプリケーションアカウントへの権限付与
AWS RAMが各Application Account(A、B)にリソースの使用権限を付与します。重要なのは、所有権はNetwork Accountに残ることです。
Note:リソースの所有権は共有元のNetwork Accountに残り、管理権限も中央で保持されます
5
各チームによるリソースデプロイ
各開発チーム(A、B)は、共有されたサブネット内に独立してEC2インスタンスをデプロイできます。セキュリティグループでは、直接IPアドレスを指定する代わりに共有プレフィックスリストを参照します。
6
一括変更と自動反映
セキュリティ管理者がNetwork Accountでプレフィックスリストを更新すると、全てのApplication Accountのセキュリティグループに自動的に反映されます。
ベストプラクティス

プレフィックスリスト共有により、数百のセキュリティグループを個別に更新することなく、中央での一括変更が可能になります。これは従来の手動管理と比べて運用負荷を大幅に削減します。

VPCサブネット共有による中央集権管理

VPCサブネット共有は、上記のプレフィックスリスト共有と組み合わせることで、ネットワークインフラの完全な一元管理を実現します。Network AccountがVPC、サブネット、IGW、NAT Gatewayを所有・管理し、Application Accountsは共有されたサブネット内にEC2、RDS、ELBを独立してデプロイできます。

ネットワーク一元管理

セキュリティチームがVPC、サブネット、ルートテーブル、NACLを統一管理し、一貫したセキュリティポリシーを適用できます。

各チームの自律性維持

アプリケーションチームは共有サブネット内で独立してEC2インスタンス、RDS、Lambda等のリソースをデプロイできます。

運用負荷削減

各チームが個別にVPCを管理する必要がなく、ネットワーク設定の標準化により運用複雑性を大幅に削減できます。

コスト最適化

NAT Gateway、VPC Endpoints等の共通ネットワークコンポーネントを複数チーム間で共有し、コストを削減できます。

ベストプラクティス

金融企業など厳格なセキュリティ要件がある環境では、セキュリティチームがネットワーク基盤を管理し、アプリケーションチームがビジネスロジックに集中する体制がベストプラクティスです。

実践問題で確認

ここまで学んだAWS RAMによる一括管理を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生する運用課題に基づいており、適切なRAM活用パターンを選択する能力を養います。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

金融サービス企業がAWS Organization内の複数のAWSアカウントを管理しています。各アカウントには、特定のアプリケーション機能(ウェブ、アプリケーション、データベースなど)に専用のVPCがあります。セキュリティチームは、すべてのVPC間通信に対して、一貫した制御と可視性を確保する必要があります。 また、この企業は開発チームが新しいアプリケーションをデプロイするたびに、複数のアカウントにわたってセキュリティ設定を更新する必要があり、これが運用上の課題となっています。セキュリティチームは、以下の要件を満たすソリューションを求めています: - 複数のAWSアカウント間でセキュリティグループの管理を一元化する - アカウント間でのVPC通信を制御するためのポリシーを標準化する - 新しいアプリケーションのデプロイ時に必要となるセキュリティ設定の変更を最小限にする - 既存のVPCピアリング接続を維持する この要件を満たすために、ネットワークエンジニアはどのようなアプローチを推奨すべきですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

大手金融サービス企業が、AWS Organizations内で複数のAWSアカウントを使用しています。アプリケーションチームはそれぞれ専用のAWSアカウントを持ち、セキュリティ・コンプライアンスチームは共有されたネットワークインフラストラクチャの管理を担当しています。企業はセキュリティとコンプライアンスの強化のために、中央管理されたネットワークモデルを構築する必要があります。要件は以下の通りです: 1. すべてのサブネットとネットワークコンポーネント(NAT Gateway、Internet Gateway、VPC Endpointsなど)はセキュリティチームによって一元管理される必要がある。 2. アプリケーションチームは自身のEC2インスタンス、RDSデータベース、Lambda関数などのリソースをデプロイする能力を持つ必要がある。 3. ネットワークトラフィックの監視と制御はセキュリティチームが担当し、すべてのアプリケーションリソースに適用される必要がある。 4. ソリューションは運用オーバーヘッドを最小化しながら、アカウント間でのリソース共有と通信を可能にする必要がある。 これらの要件を効率的に満たすためには、どのソリューションを実装すべきですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

大手金融サービス企業が、AWS Organizations内に複数のAWSアカウントを持つマルチアカウント環境を運用しています。企業は以下のような課題に直面しています: - アプリケーションチームごとに別々のAWSアカウントがあり、各チームが独自のVPCを作成・管理している - 共通のネットワークサービス(NAT Gateway、VPCエンドポイントなど)が各VPCで重複して配置されており、コストが増加している - IPアドレス管理が複雑化し、CIDR範囲の計画と割り当てに多大な労力が必要になっている - VPC間の接続とルーティングの設定が煩雑で、新しいアプリケーションのデプロイに時間がかかる - セキュリティコントロールが一貫して適用されておらず、コンプライアンス監査が困難になっている ネットワークチームは、これらの課題を解決し、マルチアカウント環境でのネットワーク管理を簡素化するためのソリューションを設計したいと考えています。 どのようなアーキテクチャが最もこれらの課題に対応し、運用効率を高めることができますか?

まとめ

AWS RAMによる一括管理は、マルチアカウント環境において中央集権管理分散デプロイを両立させる重要な機能です。プレフィックスリスト共有によるセキュリティ管理、VPCサブネット共有によるネットワーク基盤管理により、組織全体での標準化と運用効率向上を実現できます。

AWS RAMプレフィックスリストを共有し、セキュリティグループルールで参照することで、中央での一括変更全ての関連セキュリティグループに自動反映されます。数百のセキュリティグループを個別更新する運用負荷を大幅に削減し、金融企業など厳格なセキュリティ要件がある環境で特に効果的です。

セキュリティアカウントVPC、サブネット、NAT Gateway等のネットワーク基盤を一元管理し、アプリケーションアカウント共有サブネット内に独立してリソースをデプロイできます。ネットワーク統制とチーム自律性を両立し、運用オーバーヘッドを最小化します。

AWS Organizations環境では、RAMとOUベースの階層管理を組み合わせることで、組織全体への一貫したリソース共有とガバナンスが可能です。中央集権的な管理により標準化を実現し、各チームの自律性を維持しながら運用効率を向上させます。

これらの実装パターンにより、複数アカウント環境での手動管理の課題を解決し、スケーラブルで監査可能な管理体制を構築できます。実際の資格試験では、RAMの適用場面他サービスとの組み合わせを理解することが重要です。

理解度チェック

プレフィックスリスト共有による一元管理の仕組みとメリットを説明できるか?

VPCサブネット共有による中央集権管理と分散デプロイの両立方法を理解しているか?

AWS OrganizationsとRAMの統合による組織全体の標準化実現方法を説明できるか?

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