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AWSベストプラクティス
約13分
上級
7/10
2025年8月16日

AWS ANS-C01 対策 Route 53 ドメインセキュリティ (移管ロックとDNSSEC)

Route 53のドメインセキュリティ機能を解説。ドメインの乗っ取りを防ぐ「移管ロック」と、DNS応答の改ざんを防ぐ「DNSSEC」の役割を理解し、ドメイン管理に関するセキュリティ問題を解決します。

この記事のポイント

  • 1
    ドメインの不正移管を防止する移管ロックの機能を理解する
  • 2
    DNSSECの目的とRoute 53での役割を理解する
  • 3
    ドメイン登録とDNSホスティングのセキュリティ要件を区別できる

目次

ドメインセキュリティの2つの側面

Route 53におけるドメインのセキュリティは、大きく2つの側面に分けられます。1つはドメインの所有権そのものを守る登録情報の保護、もう1つはDNSクエリに対する応答の信頼性を保証するDNSデータの保護です。

資格試験では、この2つを明確に区別し、それぞれの脅威に対応するRoute 53の機能を正しく選択することが求められます。

ドメイン登録の保護:移管ロック

ドメイン登録の最も重大な脅威は、第三者によってドメインの所有権が不正に移されてしまうドメインハイジャック(不正移管)です。

Route 53は、この脅威からドメインを保護するために移管ロック(Transfer Lock)機能を提供しています。これは、Route 53で管理しているドメインに対して、コンソールから簡単に有効にできる設定です。移管ロックが有効になっているドメインは、所有者であっても誤って移管手続きを開始することができなくなり、不正な移管リクエストを確実にブロックします。

ベストプラクティス

ドメインを他のレジストラへ正当に移管したい場合のみ、一時的に移管ロックを無効にします。通常時は常に有効にしておくことがベストプラクティスです。また、ドメインの有効期限切れを防ぐ自動更新の有効化も忘れてはいけません。

DNS応答の保護:DNSSEC

DNSSEC(DNS Security Extensions)は、DNSの応答が正しい送信元から来ており、途中で改ざんされていないことを保証するための技術です。これにより、ユーザーが偽のWebサイトに誘導されるDNSスプーフィングキャッシュポイズニングといった攻撃を防ぎます。

🔍DNSスプーフィング

DNSスプーフィングは、攻撃者が偽のDNS応答を送信し、ユーザーを悪意のあるサイトに誘導する攻撃です。正規のDNSサーバーになりすまして、偽のIPアドレスを返すことで実現されます。

🔍キャッシュポイズニング

キャッシュポイズニングは、DNSキャッシュサーバーに偽の情報を注入し、その後のクエリに対して不正な応答を返させる攻撃です。一度キャッシュが汚染されると、TTLが切れるまで影響が継続します。

DNSSECはデジタル署名を用いてDNSレコードの信頼性を検証します。Route 53では、複雑な鍵管理(KSKやZSK)の多くをAWSが自動的に行ってくれますが、適切な設定手順を踏む必要があります。

1
AWS KMSでKSKを作成
AWS KMSでカスタマーマネージドキーを作成し、KSK(Key Signing Key)として使用します。これによりDNSSECの署名に必要な暗号化キーを管理します。
2
ホストゾーンでDNSSEC署名を有効化
Route 53のコンソールで対象のホストゾーンを選択し、DNSSEC署名を有効にします。この際、先ほど作成したKMSキーを指定します。
3
DSレコードを親ゾーンに登録
生成されたDS(Delegation Signer)レコードを親ドメイン(.comや.jpなど)に登録します。Route 53がドメインレジストラの場合、この作業は自動的に行われます。
4
CloudWatchでDNSSECステータスを監視
CloudWatchアラームを設定して、DNSSECの動作状況を継続的に監視します。これにより署名の問題を早期に検出できます。

実践問題で確認

ここまで学んだドメインセキュリティの知識を、実践的な問題で確認しましょう。

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

ある企業が海外進出に伴い、複数の国際市場に向けた新しいウェブサイトを展開しようとしています。この企業は、AWS上にウェブアプリケーションをデプロイし、Amazon Route 53を使用してDNSサービスを管理する予定です。 企業のネットワークエンジニアは、以下の要件を満たすソリューションを設計する必要があります: - 複数の国別ドメイン(.jp、.us、.uk、.de)を統合管理する - ドメイン名の自動更新を確保する - ドメイン名の不正移管を防止する - ドメインのDNSSEC対応を実装する この要件を満たすために、ネットワークエンジニアはどのような戦略を採用すべきでしょうか?

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練習問題

政府機関がAmazon Route 53を使用して機密性の高い情報を含むウェブサイトをホストしています。サイバーセキュリティチームは、DNS通信の整合性と信頼性を確保するためにDNSSEC(DNS Security Extensions)の導入を要求しました。ネットワークエンジニアはDNSSECを実装し、適切に構成していることを検証する必要があります。Route 53でDNSSECを正しく設定するために必要な手順はどれですか?

AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識

練習問題

あるグローバル企業が、Amazon Route 53を使用して複数の公開ドメインと多数のサブドメインを管理しています。近年のセキュリティ監査により、DNSスプーフィングとキャッシュポイズニング攻撃に対する保護を強化するためにDNS Security Extensions(DNSSEC)を実装することが推奨されました。 ネットワークエンジニアが最も安全かつ効率的にDNSSECを実装するには、どのアプローチを取るべきですか?

まとめ

Route 53のドメインセキュリティ問題では、何を守りたいのかを明確にすることが重要です。ドメインの所有権を守りたいのか、それともDNSの応答の信頼性を守りたいのか。この2つを区別できれば、自ずと「移管ロック」と「DNSSEC」のどちらを選ぶべきか判断できます。

脅威はドメインハイジャックです。対策はRoute 53の移管ロック」を有効にすること。これはドメインの所有権を守るための最も基本的な設定です。

脅威はDNSスプーフィングです。対策はDNSSEC」を有効にすること。DNSの応答が改ざんされていないことをデジタル署名で保証します。

理解度チェック

移管ロックが防ぐことができる具体的な脅威は何か説明できるか?

DNSSECがなぜDNSスプーフィングに有効なのかを説明できるか?

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