AWS DEA-C01 対策 SAM (Serverless Application Model)
AWS SAMによるサーバーレス開発の効率化を解説。SAMテンプレートでのリソース定義、SAM CLIによるローカルテスト、統合的なデプロイ管理の実践的な使用方法を、Infrastructure as Codeの観点から学びます。
この記事のポイント
- 1AWS SAMの基本概念とサーバーレスアプリケーション開発での利点を理解する
- 2SAMテンプレートでのリソース定義方法とサポートされるAWSサービスを把握する
- 3SAM CLIを使ったローカル開発環境とデプロイプロセスの効率化手法を説明できる
目次
AWS SAMとは何か?
AWS SAM (Serverless Application Model) は、サーバーレスアプリケーションの構築とデプロイを簡素化するAWSの開発フレームワークです。CloudFormationの拡張として動作し、サーバーレスリソースの定義を大幅に簡略化します。
従来のCloudFormationテンプレートでは数十行必要だったLambda関数とAPI Gatewayの設定が、SAMでは数行で記述できます。また、SAM CLIによりローカル開発環境での関数テストやデバッグが可能になり、開発効率を大幅に向上させます。
AWS SAMの最大のメリットは開発生産性の向上です。Infrastructure as Code (IaC) によるリソース管理により、環境間の一貫性を保ちながら、迅速な開発サイクルを実現します。
簡潔なテンプレート記述による開発時間短縮
CloudFormationと比較して、サーバーレスリソースの定義を大幅に簡素化し、開発効率を向上させます。
SAM CLIによるローカルテスト環境
AWS環境にデプロイする前に、ローカル環境で関数の動作確認とデバッグが可能です。
自動的なベストプラクティス適用
セキュリティやパフォーマンスの推奨設定が自動的に適用され、運用品質が向上します。
環境別デプロイの標準化
開発・ステージング・本番環境への一貫したデプロイプロセスを実現します。
CloudFormationとの完全な互換性
既存のCloudFormationテンプレートとの統合や段階的な移行が可能です。
SAMで管理できるリソース
AWS SAMは、サーバーレスアーキテクチャの主要コンポーネントを統合的に管理できます。単一のSAMテンプレートでLambda関数、API Gateway、DynamoDB、Step Functions、S3など、データパイプライン全体を定義可能です。
AWS::Serverless::Function
AWS::Serverless::Function
は、SAMの中核となるリソースタイプです。Lambda関数の定義だけでなく、API GatewayやS3イベントトリガーなどのイベントソース設定も同時に行えます。
例えば、Events
プロパティでS3
を指定するだけで、S3バケットへのファイルアップロード時にLambda関数が自動実行される構成を簡単に実装できます。CloudFormationでは複雑な設定が必要なイベント通知も、SAMでは直感的に記述できます。
その他のサーバーレスリソース
SAMはAWS::Serverless::Api
(API Gateway)、AWS::Serverless::SimpleTable
(DynamoDB)、AWS::Serverless::StateMachine
(Step Functions)など、専用のサーバーレスリソースタイプを提供します。
これらのリソースは、サーバーレスアプリケーションでよく使用される設定がデフォルトで最適化されており、セキュリティやパフォーマンスのベストプラクティスが自動的に適用されます。
SAMテンプレートはTransform: AWS::Serverless-2016-10-31
で開始し、Resources
セクションでサーバーレスリソースを定義します。Parameters
、Globals
、Outputs
セクションで環境固有の設定と再利用可能な構成を管理できます。
SAM CLIによる開発効率化
SAM CLIは、ローカル開発環境でのサーバーレス開発を支援するコマンドラインツールです。Docker環境を活用して、AWS環境とほぼ同等の実行環境をローカルで構築できます。
ローカルテスト機能
SAM CLIのローカルテスト機能により、sam local invoke
でLambda関数を単体でテスト、sam local start-api
でAPI GatewayとLambdaの統合をローカルで確認できます。
sam local generate-event
コマンドは、S3、DynamoDB、API GatewayなどのAWSサービスのサンプルイベントを生成し、様々なトリガーシナリオでの関数テストを可能にします。これにより、AWS環境にデプロイする前に包括的な動作確認ができます。
デプロイ自動化
SAM CLIはsam build
でデプロイパッケージを作成し、sam deploy
で環境へのデプロイを自動化します。依存関係の解決からCloudFormationスタックの作成まで、一連のデプロイプロセスを統合管理します。
環境別デプロイは、--parameter-overrides
オプションや設定ファイル(samconfig.toml
)を使用して、開発・ステージング・本番環境ごとに異なるパラメータを適用できます。
SAM開発の典型的なワークフローは、1) SAMテンプレート作成、2) sam local
でローカルテスト、3) sam build
でビルド、4) sam deploy
でデプロイ、というシンプルなサイクルです。
実践問題で確認
ここまで学んだAWS SAMの知識を、実践的な問題で確認しましょう。SAMテンプレートでのリソース定義、ローカル開発環境、統合デプロイの各側面を扱います。
AWS認定データエンジニア - アソシエイト
練習問題
AWS認定データエンジニア - アソシエイト
練習問題
AWS認定デベロッパー - アソシエイト
練習問題
まとめ
AWS SAMは、サーバーレス開発において開発効率と運用品質を同時に向上させる強力なフレームワークです。SAMテンプレートによる簡潔なリソース定義、SAM CLIによるローカル開発環境、自動化されたデプロイプロセスにより、従来の複雑な設定作業を大幅に簡素化できます。
特にLambda、API Gateway、DynamoDB、Step Functionsを組み合わせたサーバーレスアーキテクチャでは、SAMの統合的な管理機能が威力を発揮します。Infrastructure as Codeのメリットを活かしながら、迅速な開発サイクルと環境間の一貫性を実現する、現代的なサーバーレス開発の必須ツールです。
CloudFormationと
sam local invoke
とsam local start-api
に
S3、
理解度チェック
AWS SAMがCloudFormationと比較してサーバーレス開発においてどのような利点を提供するか説明できるか?
AWS::Serverless::Functionでどのようなリソースとイベントソースを定義できるか理解しているか?
SAM CLIを使ったローカル開発からデプロイまでのワークフローを説明できるか?