AWS ANS-C01 対策 Transit Gateway Connect によるSD-WAN統合アーキテクチャ
Transit Gateway ConnectによるSD-WANソリューション統合の実装方法を解説。GREトンネリング、BGPルーティング、高帯域幅接続による既存SD-WANインフラの効率的なクラウド統合を実践問題で理解します。
この記事のポイント
- 1Transit Gateway ConnectによるSD-WAN統合の仕組みと高帯域幅実現方法を理解する
- 2GREトンネリングとBGPルーティングによる効率的なネットワーク設計を習得する
- 3既存SD-WANインフラをクラウドに統合する最適なアーキテクチャパターンを把握する
目次
Transit Gateway Connect
Transit Gateway Connectは、SD-WAN(ソフトウェア定義ワイドエリアネットワーク)ソリューションとAWS Transit Gateway間の高帯域幅接続を実現する専用機能です。
従来のIPsec VPN接続(最大1.25 Gbps)と比較して、最大5 Gbpsの高帯域幅と低レイテンシーを提供し、企業の既存SD-WANインフラをクラウドに効率的に統合できます。

Transit Gateway Connect による SD-WAN統合アーキテクチャ
- •複数AZでの冗長化による高可用性確保
- •VPCルートテーブルでTransit Gateway経由のルーティング設定
- •GREトンネリングプロトコルとBGPパラメータの指定
- •動的ルート交換による自動的なルーティング設定
- •複数のVPCへの効率的なトラフィック分散
- •ネットワーク変更の自動伝播と運用負荷軽減
SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)は、ソフトウェアで制御されるワイドエリアネットワーク技術です。従来のMPLS回線と異なり、複数の回線を仮想統合してアプリケーション要件に応じた経路選択を行います。AWS Transit Gateway Connectは、SD-WANインフラを最大5Gbps・低レイテンシーでクラウド統合する専用機能です。
GRE(Generic Routing Encapsulation)トンネルは、異なるプロトコルのパケットをIPパケット内にカプセル化して転送するトンネリング技術です。Transit Gateway Connectでは、SD-WANアプライアンスとTransit Gateway間の高速・低レイテンシー通信を実現するために使用されます。従来のIPsec VPNと比較して、暗号化オーバーヘッドが少ないため高いスループット(最大5Gbps)を実現できます。GREはレイヤー3プロトコルで、BGPなどの動的ルーティングプロトコルをトンネル経由で伝送可能なため、SD-WANの柔軟なルーティング制御をクラウド環境まで拡張できます。
SD-WAN統合の主要シナリオ
Transit Gateway ConnectがSD-WAN統合において最適解となる典型的なシナリオを理解することで、適切な設計判断が可能になります。
高帯域幅要件への対応
小売業や製造業では、店舗や工場から本部システムへの大容量データ転送(在庫データ、画像、動画等)により、2.5 Gbps以上の安定した帯域幅が必要になります。
在庫管理システムの同期
複数店舗からの在庫データを中央データベースにリアルタイム同期し、品切れや過剰在庫を防止します。
画像・動画コンテンツの配信
商品画像、プロモーション動画、監視カメラ映像などの大容量コンテンツを効率的に転送します。
バックアップとディザスターリカバリ
オンプレミスデータをクラウドに定期バックアップし、災害時の迅速な復旧を実現します。
分析データの収集
IoTセンサーデータや売上データを中央で集約し、ビジネスインテリジェンス分析に活用します。
IPsec VPN vs Transit Gateway Connect: IPsec VPNは最大1.25 Gbps(複数トンネルでも理論値2.5 Gbps)に制限されるため、高帯域幅が必要なSD-WAN統合ではTransit Gateway Connectの5 Gbpsが決定的な優位性を持ちます。
技術的実装のポイント
Transit Gateway ConnectによるSD-WAN統合では、Connect AttachmentとConnect Peerの適切な設定が成功の鍵となります。
CIDRブロックの割り当て
Transit GatewayにConnect用の専用CIDRブロックを割り当て、IP重複を防止します。
BGPパラメータの最適化
ASN、BGP認証、ルートフィルタリングを適切に設定し、安全で効率的なルーティングを実現します。
冗長化設計
複数のConnect Peerを異なるAZに配置し、単一障害点を排除します。
監視と運用設計
CloudWatch、VPC Flow Logs、SD-WAN監視ツールを統合し、包括的な運用体制を構築します。
他のアタッチメントとの使い分け: VPCアタッチメントは基本的なVPC接続用、Direct Connectアタッチメントは専用線接続用、Connect アタッチメントはSD-WAN統合専用として明確に役割分担されています。
実践問題で確認
ここまで学んだTransit Gateway ConnectによるSD-WAN統合を、実践的な問題で確認しましょう。各問題は実際の企業環境で発生する高帯域幅要件やスケーラビリティ要件に基づいており、適切なアーキテクチャ選択能力を養います。
AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識
練習問題
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練習問題
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練習問題
まとめ
Transit Gateway ConnectによるSD-WAN統合は、既存のSD-WANインフラ投資を保護しながら、高帯域幅、低レイテンシー、運用簡素化を実現する最適なソリューションです。GREトンネリングとBGPルーティングの組み合わせにより、スケーラブルで効率的なハイブリッドネットワークを構築できます。
最大5 Gbpsの
GREトンネリングに
動的BGPルーティングに
これらの実装パターンにより、SD-WANの柔軟性とAWSのスケーラビリティを最適に組み合わせた、次世代のハイブリッドネットワークアーキテクチャを実現できます。要件の複雑さと既存インフラの活用度に基づく適切な技術選択が成功の鍵となります。
理解度チェック
Transit Gateway ConnectとIPsec VPNの帯域幅・レイテンシー特性の違いを説明できるか?
GREトンネリングとBGPルーティングによるSD-WAN統合の仕組みを理解しているか?