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AWS設定比較
約16分
上級+
8/10
2025年7月12日

AWS SAA-C03 対策 S3ストレージクラス選択

AWS S3のストレージクラス選択をアクセス頻度×保存期間×取得時間の3軸でシンプルに判断する。ライフサイクルポリシーとIntelligent-Tieringの使い分けを実践問題で完全攻略。

この記事のポイント

  • 1
    アクセス頻度×保存期間×取得時間の3軸判断法をマスターする
  • 2
    S3 Intelligent-Tieringの詳細な仕組みと適用場面を理解する
  • 3
    各ストレージクラスの特性と適用場面を正確に理解する

目次

3軸判断法:確実に正解を導く思考プロセス

AWS資格試験でS3ストレージクラスの問題を確実に正解するには、3つの軸で体系的に判断することが重要です。この判断法をマスターすれば、複雑な業界要件やライフサイクル設計の問題でも迷うことなく最適解を導き出せます。

軸1:アクセス頻度

データにどの程度アクセスするか

軸2:保存期間

データをどの程度の期間保存するか

軸3:取得時間

データを取得するまでにどの程度の時間が許容できるか

主要ストレージクラスの特性比較

資格試験では、各ストレージクラスのコスト取得時間可用性の違いを正確に理解することが重要です。特に、Glacier Deep Archiveは最低コストだが24-48時間の取得時間、Standard-IAは即座取得可能だがコストは中程度、という特徴を押さえておきましょう。

S3 Standard

月額コスト(GB)
$0.023(最高)
取得時間
ミリ秒
最小保存期間
なし
主な用途
頻繁アクセス

S3 Standard-IA

月額コスト(GB)
$0.0125(中)
取得時間
ミリ秒
最小保存期間
30日
主な用途
月次バックアップ

S3 Glacier Flexible Retrieval

月額コスト(GB)
$0.004(低)
取得時間
1-5分(標準)
最小保存期間
90日
主な用途
災害復旧

S3 Glacier Deep Archive

月額コスト(GB)
$0.00099(最低)
取得時間
12-48時間
最小保存期間
180日
主な用途
長期アーカイブ

S3 Intelligent-Tiering

月額コスト(GB)
アクセスに応じて変動
取得時間
ティア依存
最小保存期間
なし
主な用途
不明なパターン

ライフサイクルポリシーの基本

AWS資格試験では、ライフサイクルポリシーを使った自動的なストレージクラス移行の理解が重要です。ライフサイクルポリシーにより、時間の経過とともにデータを適切なストレージクラスに自動移行し、コストを最適化できます。

ライフサイクルルールの設定方法

ライフサイクルルールは、オブジェクトの作成日からの経過日数に基づいて自動的にストレージクラスを移行するルールです。

AWS資格試験では、このルールの仕組みと制約を正確に理解することが重要です。特に、各ストレージクラス間の移行タイミングと最小保存期間の関係は重要な概念となっています。

ライフサイクルルールの移行フローを視覚的に理解することで、各ストレージクラス間の関係性と移行タイミングを把握できます。

以下の図は、Standard から Deep Archive までの段階的な移行パスと、各段階での推奨日数を示しています:

S3ストレージクラス移行フロー - ライフサイクルルールによる自動移行パス

S3ストレージクラス移行フロー - ライフサイクルルールによる自動移行パス

上記のフローで示された移行パターンは、30日→90日→365日という段階的な設計になっています。この設計により、データのアクセス頻度が時間とともに減少するという一般的なパターンに対応し、コストを最適化できます。

ライフサイクルルールを設定する際は、以下の重要な制約を必ず考慮する必要があります。これらの制約を理解せずに設定すると、予期しない追加料金が発生する可能性があります:

最小保存期間の制約

各ストレージクラスには最小保存期間がある(Standard-IA: 30日、Glacier: 90日、Deep Archive: 180日)

早期削除料金

早期削除には追加料金が発生

一方向移行

移行は一方向のみ(自動的な逆移行はなし)

Intelligent-Tiering vs ライフサイクルルール

Intelligent-Tieringライフサイクルルールは、どちらもS3のコスト最適化を実現する機能ですが、最適化のアプローチが根本的に異なります

資格試験では、データの特性やアクセスパターンに応じてどちらを選択すべきかを正確に判断することが重要です。以下の比較表で両者の違いを確認しましょう。

S3 Intelligent-Tiering

最適化方式
アクセスベース自動最適化
移行タイミング
30日間未アクセスで自動移行
逆移行
アクセス時に即座に復帰
追加料金
監視料金 $0.0025/1000オブジェクト/月
適用場面
アクセスパターンが予測困難・変動激しい
管理オーバーヘッド
設定後は完全自動
コスト予測
アクセスパターンに依存

S3 Lifecycle Policy

最適化方式
時間ベース自動移行
移行タイミング
予め設定した日数で確実に移行
逆移行
自動逆移行なし
追加料金
追加料金なし
適用場面
アクセスパターンが予測可能・段階的減少
管理オーバーヘッド
移行スケジュール設計が必要
コスト予測
事前に正確な予測可能

上記の比較を踏まえ、選択基準は以下の通りです:

Intelligent-Tieringを選ぶべき場合

アクセスパターンが予測困難または変動が激しい、管理オーバーヘッドを最小化したい、データに対するアクセスが不規則で時々急にアクセスが必要になる

ライフサイクルルールを選ぶべき場合

アクセスパターンが予測可能で段階的に減少する、コストを事前に正確に予測したい、追加の監視料金を避けたい

問題文で「アクセスパターンが予測不可能」「変動が激しい」などのキーワードがあればIntelligent-Tiering、「段階的にアクセス頻度が減少」「時間経過とともに」などがあればライフサイクルルールを選択しましょう。

実践問題で確認

ここまでの理論を、実践的な練習問題で確認してみましょう。3軸判断法ライフサイクルポリシーの知識を組み合わせて解答することで、確実に正解を導き出すことができます。

AWS認定クラウドプラクティショナー

練習問題

製薬会社が臨床試験データを長期保存する必要があります。このデータは法規制のため最低10年間保持する必要がありますが、アクセス頻度は非常に低く、取得までに24〜48時間かかっても問題ありません。最もコスト効率の高いAmazon S3ストレージクラスはどれですか?

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練習問題

研究機関では、科学実験から大量の測定データを生成しており、それぞれ約10MBのCSVファイルとして保存されています。これらのファイルはAmazon S3に保存されています。機関のポリシーでは、データは将来の検証と分析のために6年間保存した後、削除する必要があります。 データの利用パターンは以下の通りです: - ファイルは作成後最初の2か月間は頻繁にアクセスされる(週に複数回) - その後1年間は月に1〜2回程度のアクセスとなる - それ以降は非常にまれにしかアクセスされない(年に1〜2回程度) - ただし、どのファイルも必要な場合はすぐにアクセスできる必要がある - データは再現可能だが、再実験には大きなコストと時間がかかる 年間データ量は約50TBに達すると予測されています。 最もコスト効率の高いストレージソリューションはどれですか?

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練習問題

ある製造会社は膨大なデータをAmazon S3に保存しています。データアナリティクス部門は、約800TBのデータを保持しているS3バケットのストレージコストを最適化する必要があります。データアクセスパターンは予測不可能で、あるオブジェクトは数週間頻繁にアクセスされるものの、その後数ヶ月間アクセスされないことがあります。他のオブジェクトは数分おきに定期的にアクセスされます。最も重要な要件は、管理オーバーヘッドを最小限に抑えながら、すべてのデータに即時アクセスできることです。 どのソリューションが、これらの要件を最も運用効率よく満たすでしょうか?

まとめ

3軸判断法(アクセス頻度×保存期間×取得時間)をマスターすることで、どんな複雑な要件でも確実に最適なストレージクラスを選択できます。

各ストレージクラスの特性を正確に理解することで、問題文の要件から最適解を導き出せるようになります:

Standard

高頻度アクセス、制限なし、最高コスト

Standard-IA

低頻度だが即座取得、30日最小保存期間

Intelligent-Tiering

自動最適化、監視料金あり、アクセスパターン不明時に最適

Glacier Flexible

アーカイブ、3つの取得オプション、90日最小保存期間

Glacier Deep Archive

最低コスト、12-48時間取得、180日最小保存期間

Intelligent-Tieringは単純な階層移行だけでなく、オプションのアーカイブ層設定により長期保存にも対応できる柔軟性が特徴です。アクセスパターンが予測困難な場合の第一選択肢となります。

理解度チェック

アクセス頻度×保存期間×取得時間の3軸判断法を使って、適切なストレージクラスを選択できるか?

「運用オーバーヘッド最小」「自動化」「規制要件」などのキーワードから適切なソリューションを導き出せるか?

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