AWS SCS-C02 対策 タグ管理・強制によるリソースガバナンス戦略
AWS Organizationsを活用したタグ管理・強制の実装方法を解説。Tag Policies、Service Control Policy、Resource Groupsを組み合わせた予防的制御、継続的監視、リソース整理の包括戦略を実践的な問題を通じて理解します。
この記事のポイント
- 1Organizations Tag Policiesによる一貫したタグ標準化を理解する
- 2SCPを使用した予防的タグ強制メカニズムを習得する
- 3Config RulesとResource Groupsによる継続監視・自動修復を把握する
目次
タグ管理・強制によるリソースガバナンス
AWS環境の拡大に伴い、リソースの適切な分類と管理が重要になります。タグ管理・強制は、コスト配分、セキュリティポリシー適用、コンプライアンス監査を効率化する基盤技術です。
本記事では、Organizations Tag Policiesによる標準化、Service Control Policyでの予防的制御、Config Rules + Resource Groupsによる継続監視の3つのアプローチを実装例を通じて学習します。
資格取得で重要なトピック
タグ管理・強制では、以下の3つのアプローチが特に重要です。
Organizations Tag Policiesによる標準化
Organizations Tag Policiesは、組織全体で一貫したタグ命名規則と必須タグを定義・適用するサービスです。OUレベルで継承可能で、新規アカウントにも自動適用されます。
- •Environment: dev/staging/prod
- •BusinessUnit: finance/marketing/engineering
- •CostCenter: 部門別コストセンター
- •Owner: リソース責任者
- •ルートレベルで基本ポリシーを定義
- •部門OUで固有要件を追加
- •環境OUで特別制約を設定
- •新規アカウントに自動継承
- •非準拠リソースの特定
- •タグ適用率の測定
- •部門別コンプライアンス状況
- •改善アクションの優先順位付け
Tag Policiesによる標準化は、組織全体でのタグ管理の基盤となります。しかし、ポリシーの定義だけでは十分ではありません。実際の運用では、予防的制御と継続的監視を組み合わせることで、効果的なガバナンスを実現できます。
標準化された命名規則
組織全体で統一されたタグキー・値の形式を強制し、管理の一貫性を確保します。
必須タグの自動適用
新規リソース作成時に必要なタグが自動的に適用され、手動設定ミスを防止します。
OU階層での継承
組織構造に合わせてポリシーが継承され、部門固有の要件も柔軟に追加できます。
SCPによる予防的タグ強制
Service Control Policy(SCP)は、必須タグが付与されていないリソースの作成を予防的に阻止する強力なメカニズムです。
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Sid": "RequireTagsForEC2",
"Effect": "Deny",
"Action": [
"ec2:RunInstances"
],
"Resource": "*",
"Condition": {
"Null": {
"aws:RequestedRegion": "false",
"ec2:ResourceTag/Environment": "true",
"ec2:ResourceTag/BusinessUnit": "true",
"ec2:ResourceTag/Owner": "true"
}
}
}
]
}
上記のSCPポリシーは、EC2インスタンス作成時にEnvironment、BusinessUnit、Ownerの3つのタグが必須であることを強制します。これらのタグが不足している場合、リソース作成は完全に阻止されます。
リソース作成時点での強制
必須タグがない場合、リソース作成自体が拒否され、後からの修正作業が不要になります。
ルートユーザーを含む全適用
アカウント内のすべてのプリンシパル(ルートユーザー含む)に適用され、例外なく制御できます。
組織全体での一貫性
OUレベルでの適用により、複数アカウントに統一ポリシーを効率的に展開できます。
Tag Policiesは標準化のガイドライン、SCPは予防的な強制メカニズムです。両方を組み合わせることで包括的なタグガバナンスを実現します。
Config Rules + Resource Groups継続監視
AWS Config Rulesによる継続的な監視とAWS Resource Groupsによる論理的グループ化により、既存リソースのタグコンプライアンスを管理します。

Config Rules + Resource Groupsによるタグ監視ワークフロー
Config Rules評価
必須タグの欠落を検出し、自動修復アクションで非準拠リソースにタグを追加します。
Resource Groups分類
タグベースでリソースを論理的にグループ化し、プロジェクトやチーム単位での管理を実現します。
自動修復機能
Lambda関数と連携して、検出された非準拠リソースに適切なタグを自動で付与します。
予防的制御(SCP)でリソース作成時に強制し、継続監視(Config Rules)で既存リソースをメンテナンスすることで、完全なタグガバナンスを実現します。
実装シナリオで確認
ここまで学んだタグ管理・強制の戦略を、実装シナリオで確認しましょう。各シナリオは実際の運用場面に基づいており、適切なタグガバナンス実装を選択する能力を養います。
AWS認定セキュリティ - 専門知識
練習問題
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まとめ
タグ管理・強制による効果的なリソースガバナンスは、予防的制御、継続的監視、論理的整理の3つの柱で構成されます。これらの原則に基づく設計により、スケーラブルで監査可能なクラウド環境の構築が可能になります。
Organizations Tag Policiesに
Service Control Policyに
AWS Resource Groupsに
これらの実装パターンにより、手動タグ管理の課題を解決し、自動化された継続的ガバナンスを構築できます。実際の運用では、これらの機能の組み合わせと使い分けを理解することが重要です。
理解度チェック
Organizations Tag PoliciesとSCPの役割分担を説明できるか?
SCPによる予防的タグ強制のメカニズムと制約を理解しているか?
Config RulesとResource Groupsによる継続監視の仕組みを説明できるか?